健康と安全
方針
健康と安全に関する方針やコミットメント
イオン(株)、UNIグローバルユニオン、UAゼンセン、イオングループ労働組合連合会の4者は2014年11月に「グローバル枠組み協定」を締結しました。企業と労働組合がお互いをパートナーとして認識し、職場における基本的人権などの権利の尊重、地球環境におよぼす影響への対応に関する認識を共有し、その実施に向けて努力することを目的とするもので、国内では3例目となります。協定内容には、就業の最低年齢や、職業上の安全・健康・作業環境に関する条約などを取り上げたILO(国際労働機関)中核的8条約の尊重が含まれます。国内外を問わず、4者の協力によって労働、人権、環境に関する取り組みを推進していきます。
イオンは、2020年6月30日、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、防疫対策の基準などを示した「イオン新型コロナウイルス防疫プロトコル」を制定しました。
本プロトコルは、防疫対策を一時的な取り組みでなく継続的に実行していくことで、防疫が生活の一部となる社会を実現し、お客さまおよび従業員の健康と生活を守り、お客さまとともに地域社会の「安全・安心」な生活を守ることを目的にしています。
イオンは、感染拡大防止に向け、2020年1月の中国武漢での対策開始より現在に至るまで、専門家による科学的根拠に基づく助言をもとに、最新の知見に基づく防疫対策を、お客さまのご協力を得ながら、実施してまいりました。
本プロトコルは、これまでに取り組んだ防疫対策を明確な基準とすることで、継続して、従業員の防疫教育やお客さまへの周知に活かすべく、3名の防疫に関する専門家の監修を加え作成しています。プロトコルでは、まず「イオンの防疫への誓い」を掲げた上で、イオンが取り組む事項として、

①従業員からの感染リスク
②施設内での飛沫感染、接触感染リスク
から防ぐ対策基準を示すとともに、お客さまへの感染防止策への協力のお願いを示しています。
※イオンが展開する各国の従業員への教育およびお客さまへの周知に活用するため、英語、中国語でも作成しています。
イオンは、今後も「新しい生活様式」を、全従業員の行動とお客さまの協力によって、これまで以上に日常生活に定着持続させ、地域社会の「安全」を確保し「安心」につなげていくために、最大限の努力をしてまいります。
健康経営
当社では、従業員のWell-Beingが企業活動のベースであり、従業員が健康であることにより、地域のお客さまに健康と心の豊かさをもたらすサービスを提供できるとの考えのもと、健康経営を推進しています。健康経営優良法人認定制度においては、2023年3月に「健康経営優良法人2023(大規模法人部門)」に認定されました。なお、同認定の取得は2020年より4年連続となります。

1.健康経営宣言・行動指針
当社は、以下の通り代表取締役社長より健康経営宣言および行動指針を示し、全社を挙げて健康経営を推進しています。

2.健康経営の推進体制
当社は、管理担当役員を健康経営責任者とし、健康経営を推進しています。
人事部内に健康推進チームを組成し、専門職としては非常勤の産業医4名、保健師2名を配置しています。
経営層を含む経営会議では、行動指針、戦略マップなどの全社方針の策定を行っているほか、定期的に取組み内容の進捗を報告しています。
労働組合とは、月1回の衛生委員会のほか、個別に必要に応じて情報共有や協議の機会を設けています。
各事業所を含む、会社全体の組織体制は下表の通りとなっています。
役職 | 担当者 | 役割 |
---|---|---|
最高健康責任者 | 管理担当役員 | 健康経営の最高責任者 健康経営宣言の社内外への発信 |
健康推進責任者 | 人事統括部長 | 健康経営推進の実施責任者 健康経営の体制構築 |
健康推進担当者 | 人事部長 人事部マネージャー 人事部担当者 |
各関連機関と連携した施策の企画・実践 各事業所の支援 |
健康推進リーダー | 各拠点ゼネラルマネージャー・部長 | 事業所・部署の健康経営の責任者 従業員の健康診断の受診・健康施策への取り組み推進 |
健康推進サブリーダー | 各拠点オペレーションマネージャー・マネージャー・担当部長 | 事業所・部署の健康管理の責任者 健康診断受診の徹底、健診事後措置の勧奨等具体的な声掛け |
3.健康経営の目的と期待する効果
当社では、健康経営で解決したい経営上の課題(=実現したい経営の状態)を“Well-Beingな『ワークインライフ』の実現”とし、それを測る最終的な目標指標として「従業員エンゲージメント」「プレゼンティーズム損失割合」「傷病によるアブセンティーズム」の3つを定義しました。
さまざまな健康投資により、従業員の健康リスク数値の改善、従業員のヘルスリテラシーや満足度の向上に繋がり、それらが3つの目標指標に結びつき、最終的に従業員のWell-Beingが実現すると考えています。
こうした投資効果の繋がりを、下図の通り当社の健康経営の戦略マップとして整理しました。

最終的な目標指標 | 測定方法 | 測定人数および回答率(2022年度) | 2021年度実績 | 2022年度実績 |
---|---|---|---|---|
従業員エンゲージメント | イオン行動規範サーベイにおける従業員の価値観(モチベーション・帰属意識)の回答の平均点を集計 ※5点満点 | 2,380名(対象者に対し回答率70.1%) | 3.84 | 3.72 |
プレゼンティーズム損失割合 | WHO-HPQ指標を用いて絶対的プレゼンティーズムを測定し、100-(回答平均点×10)で損失割合を算出 | 3,482名(対象者に対し回答率98.5%) | ー | 37.6% |
傷病によるアブセンティーズム | 年度末時点の在籍者のうち、私傷病で連続30日以上仕事を休んだ人の割合を集計(有給消化を含む) | 2,126名(日給月給社員全員) | 2.8% | 2.8% |
4.健康経営の具体的な取り組み
- 健康経営宣言や行動指針、組織体制などを記載したポスターの作成(年1回、2022年度認知率22.2%)
- 保健師が季節に応じた健康トピックを紹介する「保健師だより」の発行(月1回)
- 各職場での職場環境改善ミーティングにて、保健師だよりを題材にしたディスカッション(月1回)
- ストレスチェックの実施徹底およびストレスチェック結果に基づくセルフケアコンテンツの提供(年1回)
- 全従業員に向け、セルフケアを中心とした研修の実施(2023年8月実施予定)
- 管理職に向け、ラインケアを中心とした研修の実施(年1回、2022年度参加率99%)
- 従業員が誰でも気軽に保健師に相談できる「イオンモール保健室」の設置(常設)
- 全従業員に向け、女性の健康への理解を促進するセミナーを実施(年1回、2022年度参加率2.6% ※管理職参加率10.3%)
- 健康ポータルサイトPepUpにて、女性だけでなく男性の更年期障害も含めたコラムの展開
- 乳がん検診、子宮がん検診を含むがん検診の費用補助
- インフルエンザ予防接種費用の補助(イオングッドライフクラブ共通)
- がん検診費用の補助(イオン健康保険組合共通)
- 禁煙サポートプログラムの提供
5.KPIおよび進捗数値
項目 | KPI | 18年度 | 19年度 | 20年度 | 21年度 | 22年度 |
---|---|---|---|---|---|---|
定期健康診断受診率 | 100% | 100% | 99.9% | 99.5% | 99.8% | 99.9% |
二次検査受診率※1 | 100% | - | - | 34.6% | 44.6% | 71.8% |
特定保健指導受診率 | 100% | 4.8% | 9.8% | 7.9% | 21.7% | 42.5% |
元気UPキャンペーン参加率※2 | 100% | 20.7% | 16.4% | 17.2% | 17.4% | 16.7% |
適正体重維持者率※3 | 75%以上 | 64.4% | 70.3% | 68.9% | 70.0% | 62.2% |
喫煙率※3 | 15%未満 | 22.0% | 21.1% | 19.6% | 17.2% | 17.6% |
運動習慣者比率※3 | 30%以上 | 19.0% | 16.5% | 19.1% | 18.9% | 22.4% |
「睡眠により十分な休養が取れている人」の割合※3 | 75%以上 | 59.0% | 62.0% | 64.3% | 64.9% | 60.1% |
飲酒習慣者率※3 | 15%未満 | 19.4% | 16.9% | 14.0% | 12.7% | 10.4% |
血糖リスク者率※3 | 0.5%未満 | 0.7% | 0.6% | 0.8% | 0.4% | 0.8% |
糖尿病管理不良者率※3 | 1.0%未満 | 1.8% | 1.6% | 1.4% | 1.5% | 1.0% |
血圧リスク者率※3 | 0.5%未満 | 0.4% | 0.6% | 0.8% | 0.7% | 0.7% |
高血圧のうち治療中率※3 | 100% | 78.3% | 76.0% | 77.6% | 77.7% | 82.7% |
ストレスチェック受検率※3 | 100% | 96.6% | 95.9% | 98.5% | 96.2% | 98.5% |
高ストレス者率※3 | 10%以下 | 12.0% | 12.8% | 11.7% | 13.7% | 15.5% |
年間総実労働時間※3 | 1,975時間以下 | 2044時間 | 2025時間 | 2018時間 | 1998時間 | 1989時間 |
業務災害件数※3 | 15件以下 | 21件 | 19件 | 19件 | 17件 | 23件 |
健康経営度調査※3 | ホワイト500取得 | 調査票提出 | 優良法人認定 | 優良法人認定 | 優良法人認定 | 優良法人認定 |
※1 二次検査受診率…有所見者(要再検査・要精密検査・要治療者)のうち受診が必要と産業医が判定した者の受診率
※2 イオン健康保険組合による、2カ月間の生活習慣改善にチャレンジするキャンペーン
※3 40歳以上を対象に集計
地域住民に向けた健康習慣の発信
2020年2月、イオンモール下妻(茨城県)では、下妻市や関係団体と協力して館内でお客さま向けの「認知症サポーター養成講座」を開催。認知症についての正しい知識や認知症の方とコミュニケーションをとる際の注意点を学ぶとともに、脳に刺激を与えて活性化させるエクササイズ体験などを実施しました。こうした講座を各地のモールでおこなうとともに、専門店さまおよび当社従業員を対象にした認知症のお客さまへの接し方を学ぶための講座も実施しています。またイオンモールアプリ上では、モール内でも、モール以外の場所でも、一日の歩数が確認でき、 さらに週間歩数の全国ランキングが確認できるなど、楽しみながら健康促進が図れる機能を備えています。

お客さまの健康的なライフスタイルをサポートするため館内にウォーキングコースを設置し、季節や天候、時間に左右されず、お買い物をしながら運動を楽しんでいただける「イオンモールウォーキング」を国内ほぼすべてのモールで実施しています。
当社はかねてより、厚生労働省やスポーツ庁がめざす健康増進の取り組みに協力してまいりました。2019年には、新たにスポーツ庁のプロジェクト「Sport in Life」に賛同し、7月から2ヵ月間、約150モールで涼しく快適なモール環境を活かしたスポーツ体験企画「モールdeスポーツ」を実施しました。
■ステップウォーキング
デザインの上を歩くことで、年代別・身長別に適正値とされる歩幅と自身の歩幅を比較できます。
■クライムウォーキング
身体活動量の増加を目的に、積極的な階段の利用を促進。階段の歩行にあわせて童謡が流れるほか、カラフルなデザインが楽しめます。
■バランスウォーキング
歩行姿勢を見直すきっかけづくりとして、歩行スピードやバランス、姿勢などから歩行年齢を測定し、フィードバックをおこなう通路を設置しました。
労働安全衛生委員会、労働組合との取り組み
当社では従業員代表と会社代表が対話する仕組みとして、年に4回労使協議会を実施し、適正な労働環境・労働条件の実施に向け労使一体となった取り組みを行っています。また従業員の健康と安全が重要な課題であるという共通認識のもと意見の交換と調整を行っています。
労働安全衛生
健康・安全基準に関する研修を受講した従業員数
単位 | 範囲※1 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | |
---|---|---|---|---|---|
労働安全衛生に関する研修に受講した従業員人数※2 | 人 | ② | 3,688 | 4,003 | 3,022 |
※1 ①国内直営モール:管理・運営のみを受託しておりエネルギー管理をおこなっていない事業所は対象外とする
②海外 ③連結(海外、子会社含む)
※2 衛生管理者(日本の労働安全衛生法に定められている)救急救命講習、火災地震などの避難訓練、メンタルヘルスケア
LTI(休業災害)率
単位 | 範囲※1 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | |
---|---|---|---|---|---|
労働災害件数(通勤災害は除く) | 件 | ② | 30 | 18 | 34 |
労働災害死亡件数※2 | 件 | ② | 0 | 0 | 0 |
休業災害件数※3 | 件 | ② | 2 | 1 | 0 |
※1 ①国内直営モール:管理・運営のみを受託しておりエネルギー管理をおこなっていない事業所は対象外とする
②海外 ③連結(海外、子会社含む)
※2 労働災害(通勤災害は除く)のうち、死亡を伴う労働災害件数
※3 労働災害(通勤災害は除く)のうち、負傷または疾病の療養のために翌日から従業員が出勤できなくなった労働災害件数