地域の全ての子どもに健やかな暮らしを〜 イオンモール大和郡山「食の助け合いフードドライブ」の取り組み

2021年の厚生労働省の調査において、日本では17歳以下の子ども9人に1人が貧困状態に陥っていることが、明らかになりました。子どもの貧困率は年々改善傾向にあるものの、新型コロナウイルスの影響を受けた家庭も少なくありません。そこで2023年4月には「こども家庭庁」が発足するなど、「子どもの貧困」は少子化問題とともに子どもを取り巻く社会問題として喫緊の課題となっています。
こうした課題を解決する一助として、家庭で余っている食品を集めて、食品を必要としている子ども食堂や福祉施設などに寄付する「フードドライブ」という活動が全国各地で広まっています。
今回は、イオンモール大和郡山で実施しているフードドライブの取り組みについてご紹介します。

フードバンク奈良と協働で、フードドライブに初挑戦

イオンモール大和郡山
営業担当 吉村

イオンモール大和郡山では、毎月第2土曜日に「フードバンク大和郡山」によるフードドライブが開催されている。地域のお客さまからお米や保存食品、調味料、菓子類などたくさんの食品が寄付され、市内の子ども食堂を中心とした施設に届けられている。

この取り組みは、2022年9月にNPO法人「フードバンク奈良」が開催したイベントから始まった。「フードドライブ」を担当する営業担当の吉村は、「近くのスーパーマーケットでの買い物の際、レジ横にあった『フードドライブ回収BOX』を見つけたのをきっかけに、関心を持ちました。フードドライブの取り組みを初めて目にし、私たちが住む地域にもお腹いっぱいにご飯を食べられないお子さまや、食品を手に入れられないほど困窮している方がいらっしゃることを実感。そこで当モールにおいても、地域の皆さまが助け合う“場”を提供できないかと考えました。」と振り返る。

吉村ははじめに、奈良県社会福祉協議会へ相談を持ち掛けた。その中で、NPO法人「フードバンク奈良」を紹介してもらい、フードドライブの開催が決定した。さらに体制基盤を固めるために、「大和郡山市ボランティア連絡協議会」にもご協力いただくこととなり、輪が広がっていった。開催にあたっては、当モールが開催場所の提供や告知物の準備などを担当、大和郡山市ボランティア連絡協議会イベントでのブース対応、そしてフードバンク奈良が奈良県各所に食品をお届けした。

たくさんの地域のお客さまのご協力により、月例のイベントに

この第1回目のフードドライブは、全国のイオンモールで開催した『イオンモールのSDGsフェス』の企画の一つとして実施。SDGsフェスとは、地域のお客さまがさまざまな企画に参加することで「SDGs」について学んでいたくことを目的に、それぞれのモールが行政機関・地域団体・パートナー企業と連携して行うイベントだ。吉村はこの機会に、地域の皆さまに“子どもの貧困”について関心を持っていただき、行動する“きっかけ“をつくろうと考えた。
結果、ポスターや各メディアでの事前告知も功を奏し、3日間で163kgもの食品が集まった。多くの反響をいただいたため、2023年1月からは月例で実施することが決定。体制基盤を固めるために、「大和郡山市ボランティア連絡協議会」にもご協力いただくこととなり、輪が広がっていった。実施日は「毎月第2土曜日に開催」とし、お客さまにも覚えていただきやすいようにした。
「館内ポスターを含めさまざまな媒体で告知をし、お客さまへの認知を広げられたことにより、徐々に回収量は増えてきています。『きっかけさえあれば地域のために何かしたい』『身近でできることがあれば参加したい』と思っている方がたくさんいらっしゃること実感しました。当モールで開催することで、少しでも多くのお客さまへこの取り組みに共感してもらいたいと思います」と吉村は語る。

フードドライブの様子

これまで大和郡山市では「大和郡山市ボランティア連絡協議会」が、「奈良県社会福祉協議会」の主催するフードパントリー(食品を手に入れることが困難な方へ直接食品を配布する会)に参加していたが、「フードバンク」は設立されていなかった。本イベントを通じてフードドライブを行う大きな拠点ができたことで、2023年8月の「フードバンク大和郡山」の発足につながった。現在は、「フードバンク大和郡山」の皆さんに食品を集めていただき、大和郡山市内の子ども食堂を中心とした施設に届けている。

フードバンク大和郡山 発会式

「フードバンク大和郡山」の皆さまからのコメント

フードバンク大和郡山の皆さん

近年、コロナや物価高などにより、生活の厳しさを訴える方が増えています。フードバンク大和郡山は、大和郡山市の子育て世帯を中心に、経済的に困窮している方々の力になりたいという思いから“「もったいない」を「ありがとう」に”を基本理念として発足しました。
フードバンク大和郡山では、商業施設でのフードドライブで集めた食品や、食品メーカーさまからいただいた提供品などを、食品を必要とする多くの方々に寄付しています。最近は、イオンモール大和郡山さまとのフードドライブを通じて、本取り組みの認知度を少しずつ上げることができ、食品の回収量が増えてきました。
そして幅広い年齢層の方々が来店されるイオンモール大和郡山さまは、フードバンクの意義や重要性を広められる場所でもあると考えています。そこで今後は、イオンモール大和郡山さんとともにポスター・ チラシなどでの啓発活動にも取り組み、フードバンクの認知を広めていきたいと考えています。ぜひ各モールの方々にもフードドライブの取り組みを知っていただき、ご協力をお願いしたいと思います。

絵本バンクをはじめとした、幅広い社会貢献活動の実現に向けて

当モールでは今後、社会課題の解決に向け、地域のお客さまとともにより幅広く展開していく予定だ。例えば、食品を集めて配布するだけでなく、フードドライブで集めた食品が、各施設に届くまでの流れを動画やパネルで紹介する機会を検討している。
また、食品だけでなく、本や絵本を集めて子どもたちに配布する「絵本バンク」の検討も進めている。全国的に図書館や書店の数が減少しており、今後は地域の子どもたちが、本や絵本に触れられる機会が減っていくことも考えられる。そこでフートバンク奈良にお声がけし、食品を集めるタイミングで本や絵本も集める活動を検討している。
「さまざまな本を読みたくても、そういった機会がない子どもも多いと思います。そういった子どもたちのためにも、実現に向けて前向きに検討していきます」と吉村は語った。

「フードドライブ」詳細情報についてはこちら

●奈良県で活動するフードバンク等:
https://www3.pref.nara.jp/foodloss/bankdrive/

イオンモール高知 「投票所」設置から広がる“地域共創”

地域コミュニティの中核施設として、日々の暮らしに欠かせないソリューションを提供するため、イオンモールでは投票所の設置を推進しています。2007年にイオンモール秋田に当社初となる期日前投票所を設置以降、全国のモールにおいて投票所の設置が進んでいます。今年4月に行われた「第20回 統一地方選挙」では、全国63箇所のイオンモールに投票所が設置されました。今回は、その一つである「イオンモール高知」において、投票所の設置を通じて育んだ地域・行政とのつながり、またそこから広がる“地域共創”の取り組みをご紹介します。

毎日通いなれた場所で投票ができる利便性

イオンモール高知
ゼネラルマネージャー 楠本

イオンモール高知は、高知市を中心に県内各地から多くのお客さまが来店される高知県内最大級の商業施設だ。そんなイオンモール高知に投票所が初めて設置されたのは、2015年の「高知市長選挙」。高知市選挙管理委員会では、年々期日前投票を実施する方が増える中で、いかにして投票者を受け入れる会場を確保するかが、長年の課題となっていた。その折、イオンモール高知より投票所設置の提案を受ける。これを機会に高知市との新たな連携がスタート、市内の商業施設に初めて「期日前投票所」を設置した。
イオンモール高知に設置された期日前投票所は初年度より、市内でトップの投票数を集めている。有権者からも大変好評を頂いており、今年4月に行われた「第20回 統一地方選挙」は12回目の設置となり、2015年から延べ74,563名が投票に訪れた。

イオンモール高知の責任者、ゼネラルマネージャーの楠本は、「お客さまや地域の皆さまからも、普段通いなれている場所で、お出かけのついでに投票できるため『便利でありがたい』といったお声を頂くことが多いです。当モールは広い駐車場や、路線バスの乗り入れもあり、お子さま連れやお年寄りの方々もご来店頂きやすいのが大きな利点です。」と話す。

期日前投票所の様子

「市民とのつながりの場」を期待

高知市選挙管理委員会
選挙担当管理主幹 鍋島さん

高知市選挙管理委員会の鍋島さんは、イオンモール高知での投票者数について「2015年に初めて設置した際は、3,619名(3日間)だったのに対し、2021年の衆議院議員選挙では9,960名(5日間)と約3倍まで増加。最も多い日は2,850名が来場。気軽に訪れていただけること、そして館内放送やポスターによる告知にご協力頂いたことで、たいへん多くの有権者さまに投票に訪れて頂いています。また、商業施設での投票、選挙につきものである堅苦しいイメージを和らげてくれました」と話す。
高知市が投票率低下や人口減少、少子高齢化、産業振興など、さまざまな課題を抱える中で、イオンモール高知を地域にとっての“市民とのつながりの場”として「今後も多方面にわたって連携し、『地域共生社会』の実現に向け共に歩んでいきたい。」と期待を寄せている。

さらに広がる地域との取り組み

イオンモール高知では、これまでも地場産品の販売会「TSUNAGUマーケット」の開催や、マイナンバーカード登録ブースの設置など、高知県と力を合わせて地域の課題解決に力を注いでいる。2022年には地域のお客さまが気軽に楽しみながら参加していただくことで行動変容を促すことを目的に、SDGsの17のゴールに対して高知市と協働で『イオンモールのSDGsフェス』を開催。高知市各課がSDGsの取り組みをご紹介する14企画を開催。期間中は約800名の方にご来場頂いた。
そして、新型コロナウイルス感染症が5類に移行され、コロナ下が落ち着きを見せた今年、夏の一大イベント「南国土佐・高知 よさこい祭り」の通常開催が決定。4年ぶりに通常開催となる「よさこい祭り」は、8月9日(前夜祭)を皮切りに、10日・11日(本番)、12日(後夜祭・全国大会)の4日間、高知市内の競演場・演舞場で158チームの踊り子が乱舞する。イオンモール高知においても、2003年よりよさこい祭振興会に所属し、市内に点在する「よさこいステージ」の一つとして「秦(はだ)演舞場」を設置。また、よさこいチームに所属していないお子さまにも気軽に参加いただける「ちびっこよさこい」もスタートさせた。今年も6月より募集を始めている。その他、本番15分前の練習をすればどなたでもご参加いただける「飛び入りよさこい」も併せて開催。観光客や地元のご家族の思い出づくりに大変喜ばれている。
楠本は「地元の伝統行事にもどんどん関わっていきたいと思います。地域にとって最も身近なパートナーとして、さまざまな課題解決に取り組みます」と意気込む。

楠本は次のように続けた。「今後は、当社ならではの全国展開(スケールメリット)を生かした地域活性化にも挑戦していきたいと考えています。8月には新たに高知県とJA高知とタッグを組み、地元農産物の地産地消に向けた新たな企画を実施予定です。また次のステップでは、“地産外消”の取り組みを九州・沖縄事業部が行った『九州をいただきます!やさいFES』※を参考に、当モールでも実施してお客さまの笑顔が生まれる施設を目指していきます。」

※詳細は「地域をつなぐ。未来をつむぐ。ハートフル・サステナブル企画」へ
https://www.aeonmall.com/sustainability/articles/8315/

全国のネットワークを生かしたソリューションを

投票所の設置をはじめとして、次々と花開いていった地域連携の取り組み。行政だけではなく、地域団体や民間企業など、さまざまな共創が全国に広がっています。今後もイオンモール高知では、地域課題への理解を深め、解決に向けて一体となって取り組むことで「地域活性のプラットフォーム」としての役割を果たしていきます。

ハートフル・サステナブル企画 イオンモール×イオン九州(琉球)×JA『九州をいただきます!やさいFES』

おいしいだけじゃない。九州野菜の持つ魅力をもっと多くのお客さまにお届けしたい!

2022年より全国のイオンモールで開催している「ハートフル・サステナブル企画」。九州・沖縄エリアのイオンモールでは、「おいしいだけじゃない。九州野菜の持つ魅力をもっと多くのお客さまに食べて知ってほしい!」という想いから、「九州をいただきます!やさいFES」を開催しました。九州で栽培される野菜の付加価値を発信し、農業振興に貢献する九州・沖縄事業部の活動をご紹介します。

全国167モールでスタートした「ハートフル・サステナブル企画」

イオンモールは、経営理念として「イオンモールは、地域とともに『暮らしの未来』をつくるLife Design Developer“です。」を掲げ、商業施設の枠組みを超えて、一人ひとりのライフステージを見据えたさまざまな機能拡充を行い、ショッピングだけでなく人との出逢いや文化育成なども含めて“暮らしの未来”をデザインすることを目指している。2015年からは、全国のモールで勤務する社員が地域の持つ魅力を再発見し、その魅力を産官学と連携したさまざまな取り組みを企画・立案し、発信することを目的とした「究極のローカライズ企画」を開始。これまでコンペで厳選された85企画が実施されてきた。2022年からは、今までの取り組みをより深化し、持続可能な社会の実現に向けて、各地域の問題や課題の解決を目指す「ハートフル・サステナブル企画」がスタートする。地域経済の振興、環境負荷軽減、子育て支援、防災・防犯、住民の健康増進など、今その地域で最も取り組むべきテーマを掲げて、行政や自治体、民間団体などと連携しながら活動している。

その一つが、「九州をいただきます!やさいFES」だ。九州・沖縄に立地する16のイオンモールで、JA全農ふくれんが販売する九州野菜「博多アスパラガス」・「博多のトマト」、JA鹿児島県経済連の「鹿児島県産紅はるか」、JAおきなわの「ちゅらとまと」などを使用した限定メニューを各モールの飲食専門店で提供。また、モール内の広場や通路では、各野菜のPRイベントを実施したほか、総合スーパー「イオン」の野菜売場では、特別コーナーを設け、豊富に陳列。
お惣菜コーナーでは期間限定で「博多アスパラガスとベーコンのピザ」や「鹿児島県産紅はるかの大学芋」「博多のトマトマルゲリータ」などさまざまなお惣菜を展開し大々的にPRを実施した。

きっかけはイオンモール福岡の“粕屋町産ブロッコリーフェア”

CX創造ユニット 西日本支社
九州・沖縄事業部 曽根

この企画のきっかけは、2021年にイオンモール福岡が開催していた『粕屋町産のブロッコリーフェア』だ。JA粕屋は日本有数のブロッコリー栽培先駆けの町で、生産量も県内ではトップクラス。粕屋町のおいしいブロッコリーをより多くの方々に知ってほしい!と企画し開催。地元メディアにも取り上げられるほど注目を集めていた。
このフェアを見た九州・沖縄事業部の曽根は、「ブロッコリーに限らず、九州には誇るべきおいしい野菜がたくさんある。九州・沖縄エリアの担当者として、もっと多くのお客さまにその魅力をお伝えしたい」と、九州全土へ取り組みを拡げる。JA、イオン九州・イオン琉球と対話を重ね、協業共創することで、『やさいFES』へと発展させた。

九州野菜の価値を広く伝える

「本企画に取り組む中で一番力を入れたのは、専門店各社との協業。九州・沖縄エリアの各モールのスタッフに協力を仰ぎ、専門店各社と交渉を粘り強く進めました。取り組みを最大化させるためには、当社だけでなく地域の皆さまやパートナー企業との共創が不可欠。」と曽根。2022年7月に「博多アスパラガス」、10月に「鹿児島県産紅はるか」、2023年1月には「博多のトマト」「ちゅらとまと」をターゲットに企画を実施し、合計227店舗の専門店にご参加いただいた。

また、本企画ではJA全農ふくれんの協力のもと、「博多のトマトを使ったレシピ総選挙」や、「やさいFES 写真を使ってらくがきアート」も開催。曽根は「お客さまに『食べる』以外でも九州野菜に親しみを感じていただきたく、多数のイベントを企画しました。九州の農家さんがこだわって栽培していることを知ってもらえれば、安心して口にすることができますし、今まで以上に愛着を感じていただけるはず」と話す。九州野菜が持っている魅力を発信し、地域農業に貢献することで、イオンモールがその地域においてなくてはならない存在になれることが究極の目標だ。

「やさいFES 写真を使ったらくがきアート」には
お子さまのかわいいらくがきが展示されました
JA全農ふくれん(左)長友さん【博多アスパラガス担当】
     (右)麻野さん【博多のトマト担当】

「博多アスパラガス」・「博多のトマト」の企画を協働で実施したJA全農ふくれんにおいても、青果物や総菜メニューの販売、専門店各社とのオリジナルメニュー販売など、各部門・事業者が様々な企画やメニュー開発に取り組んだ。JA全農ふくれんで企画を中心的に進めた麻野さん・長友さんは、「当会は福岡県産青果物の魅力を消費者の方へ知っていただくため、他企業とのタイアップを推進しています。今回のイオンモール・イオン九州との三者協働企画は、素晴らしい企画になると感じていました」と振り返る。また、「当会では、“持続可能な農業と食を提供したい”という思いがありました。三者の思いが一つになり、九州野菜の認知と消費拡大を目指す目標が一致したことで、青果物の魅力をイオンモール全体で、消費者の方々へ発信できたことで魅力を知っていただく素晴らしい機会となりました。今後も本企画をはじめ、福岡県の農林水産物フェアの開催など連携を進めていきたいです」と意気込んだ。

持続可能な農業への貢献を目指し、取り組みを全国へ

九州・沖縄エリアでは、継続して本企画の実施をしています。5月には、九州エリア16モールでJA宮崎経済連と協働で、『九州をいただきます!やさいFES 宮崎県産ピーマン特集!』を開催。また、今後は全国でも本企画が水平展開できないか各エリアで模索中。イオンモール福岡から始まった取り組みが、九州エリア全域に広がったことで、多くのお客さまへ九州野菜の魅力発信に繋がりました。今後も、地域で愛情込めて育てられた野菜のファンを増やす活動が全国へ広がっていきます。