
戦略部
戦略グループ マネージャー
studio LIFE DESIGN事務局
大輪 祐子
経営陣とともに次の中長期戦略を策定するなど、当社の成長と企業価値の向上を推進するのが戦略部の主な業務です。しかし、会社が⽅針を掲げるだけでは、真の意味で会社の変革はできません。そこで従業員と共に、めざすべき⽅向性を全社に⽰し変革を推進するためにスタートしたのが「studio LIFE DESIGN」です。戦略部が事務局を務めますが、プロジェクトの主体となるのは社内で公募したメンバーで、部署も入社年次もさまざまです。「イオンモールは、地域共創業へ。」という2030年のビジョンもここから生まれました。
当社はこれまで主に郊外のショッピンモール事業に注力してきましたが、これからは私たちが保有する経営資源をよりいっそう地域に還元し、地域全体の活性化に寄与することが事業存続のために不可欠だと考えています。当社単独では解決が難しい課題であっても、自治体や他企業など、同じ志を持つ人たちが集まって共創すれば解決できることがあるはずです。狭い意味でのショッピングモール事業にとどまらず、外へ出てさまざまな方と話して、地域の課題や将来の可能性について議論する。2030年には、こうしたマインドセットが特定の部署や管理職だけでなく、すべての従業員にとって当たり前になっていなければなりません。
その一方で、会社が打ち出すビジョンや方針を理解しても、それを自身の業務に落とし込めないと考えている従業員が過半数であることが実情です。そこで2024年のstudio LIFE DESIGNは、実際に当社が出店する地域を想定し、様々なステークホルダーを巻き込む実践プログラムを計画しています。プロジェクトを通じて会社の方針だけでなく、未来に何が起こるのかバックキャスト思考で考え、地域と共に「暮らしの未来」を先回りできる会社になることをめざしています。
「地域共創ってどういうことだろう。何をすればいいのか。」そんな議論が社内で頻繁に聞かれるるようになったのもビジョンが浸透してきたからこそだと思います。2030年に向けては、めざす状態が当たり前となり、こうしたプロジェクトが収束していくことが理想だと考えています。

イオンモール沖縄ライカム
オペレーション担当
藤間 浩輔
沖縄のモールに勤務していた入社6年目に、2期生としてstudio LIFE DESIGNに参加しました。新たな学びを日頃の業務に活かしたいと思ったこと、そして普段の仕事では出会えない方々とつながる機会になると考えたことが応募した理由です。定期的に東京で集まるため、沖縄からの参加は難しいと考えていましたが、上司の後押しもあり、またモール事務所のみなさんが快く協力してくださり、充実した1年を過ごすことができました。さまざまな部署の方と話して自分にはなかった視点を得ることができましたし、勤務するモールや地域の課題を見つめ直す機会にもなりました。
私がプロジェクトのテーマに選んだのは「公共交通」です。いま全国各地で電車やバスの廃線や減便が深刻な問題になっていますよね。イオンモールが地域の皆さまに提供する賑わいも、安全・安心も、ヘルス&ウエルネスも、すべてはお客さまが施設に来てくださらないことには話が始まりません。勤務していた沖縄県の北中城村でも、そもそも鉄道路線がないうえにバスも通らない公共交通の空白地帯が多く、ご高齢の方はタクシーを呼んでも来てもらえず、小学生がスクールバスや自家用車で登下校する状況でした。同じような地域は各地にありますので、当社が率先して公共交通をサポートする、あるいは自社で運営することが必要ではないかと考え、同じ視点を持つ先輩ふたりと3人でチームを組んでプロジェクトを進行しました。
企画を具体化するにあたって、北中城村の役場を訪ねてヒアリングも行いました。行政の方も同じ課題意識を持っていて、自治体だけでできることの限界も感じておられるようで、民間企業が「協力して何かできることはないか」とアプローチしてくれるのは大変ありがたいとおっしゃっていただけました。コミュニケーションを重ねることで、それまで気づいていなかった課題も見えてきました。もちろん当社がビジネスとして公共交通に携わるには採算性を慎重に検討する必要があり、その点はプロジェクトの最後に行った執行役員へのプレゼンテーションでも指摘をいただきましたが、今後も社内で同じ課題意識を持つ方と何ができるかを考えていきたいと思います。
当社が地域共創業をめざすにあたって、私たちは自分が所属するモールや建物の中で働く時間を8時間から6時間にして、残りの2時間は外に出て「何か困ることはありませんか、私たちにできることはないですか」という姿勢で地域に深く関わっていくべきだと思います。一歩外に出てみると景色が大きく変わりますから。それぞれの地域で、自治体や他の民間企業の方々が困ったときに、まずイオンモールに相談してみようと最初にお声がけをいただける身近な存在になることが大切です。新しい赴任地でも、そうした視点を忘れずに働いていきたいと思います。