カンボジア物流課題解決に向けて
政府・関係省庁と協力し、同国初の
『保税・非居住者倉庫』を開業
(カンボジア)
イオンモール カンボジア ロジプラス
Director/ Senior General Manager
松尾 崇司
カンボジアは、アセアンの中心に位置し、物流においても地理的な優位性がありますが、原材料や製品調達の大半は海外からの輸入に頼っており、同国の物流改革はカンボジア政府にとって長年の成長課題でした。
2020年に起こった未曽有の感染症蔓延においては、国際物流が停滞したことによって、カンボジア経済も他国同様に多大な混乱・影響を受けました。この影響による経済混乱は、海外調達(グローバル・サプライチェーン)の脆弱性を露呈させるとともに、製造業においては他国単一のサプライヤー依存に対する危険性が顕在化し、カンボジア現地での安全在庫の重要性を再認識するきっかけとなりました。
イオンモールは『地域共創業』として、地域社会が抱える当該サプライチェーン課題を解決することを大義とし、ショッピングモール事業の枠組みを超え、カンボジア・日本両政府が推進するシハヌークビル港のフリーポートプロジェクトにおけるパイロット事業者として物流業界に参入することを決めました。
このプロジェクトは、シハヌークビル港を国際的に競争力のある港にすべく、シンガポールのFTZ(Free Trade Zone/自由貿易地域)に倣ったASEANゲートウェイへの拡大を見据えたもので、パイロットオペレーターである当社は、『イオンモール カンボジア ロジプラス シハヌークビルFTZロジスティクスセンター』を開発・建設し、同国初となる『保税・非居住者倉庫』の許認可を活用した物流スキームを構築しました。
同センターは、同国最大港のシハヌークビル港に隣接するシハヌークビル港SEZ(Special Economic Zone/経済特区)内にあり、同センター内に保税倉庫(18,212㎡)を設置することで、カンボジア国内にありながらも関税を留保した状態で在庫保管ができ、自社運営による日本基準の倉庫管理・通関・配送手配の物流サービスを受けながら、安全在庫・配送拠点までのリードタイム短縮が実現できます。
また、同センターは『非居住者在庫(同国初)』の取り扱いが可能であり、カンボジアに法人がない外国企業・商社(非居住者)が、カンボジア国内に在庫を持つことができます。これによって、在カンボジア企業が抱えていた海外調達課題を、安全在庫・リードタイム・キャッシュフローの面で取り除き、この物流課題解決によってカンボジア経済が更に伸びていく世界を実現していきます。
今回は両国政府が関わる⼤きなプロジェクトですが、根本にあるのは「そこに課題があり、困っている⼈がいれば、汗をかいて解決をお⼿伝いしたい」という地域共創の原点となる考え⽅です。⼈を笑顔にしたいという想いは私たちのDNAのようなものですから。カンボジアは経済的にも⼩さな国ですが、来年には新しい国際空港が完成するなど、成⻑の可能性に満ちています。先輩⽅の努⼒で築いてきた国からの信頼を胸に、これからも、さまざまな課題の解決に取り組んでまいります。
サーキュラーモールをめざし、果物のごみを 洗剤として再利用(インドネシア)

イオンモール BSD CITY
Manager Mall Operation
Johannes Ivan Kristani

イオンモール BSD CITY
Asst Manager Mall Operation
Wilibald Yodestiro
これまでは破棄されていたパイナップル、オレンジ、スイカ、メロンなどの皮に砂糖と水を適切な割合で加えて約3ヶ月発酵させると、香りの良い天然の清掃洗剤が生まれます。手順はシンプルですが、他の生ごみや腐った皮を混ぜるとうまくいきません。そのため飲食の専門店に分別をお願いすることになりますが、皆さまから好意的な反応をいただき、現在では72ものお店にご協力をいただいています。
当モールが年間に約100万kgの生ごみを排出していることを考えれば、まだ再利用できた量はごくわずかです。しかし、こうした活動を継続し、お客さまに情報をシェアすることで、資源循環の大切さが広まることを願っています。小さなことから始めましょう!