地域をつなぐ。未来をつむぐ。

〜お客さまとともに地域の森といきものを育む〜イオンモール和歌山・和歌山大学 「イオン ふるさとの森 いきもの調査」

「イオン ふるさとの森づくり」による植樹活動は、1991年にマレーシアから始まり、これまでにイオングループトータルで12,554,305本を植樹しました(2023年2月末時点)。イオンモールにおいても、新しいモールがオープンする際、それぞれの地域に自生する木々や自然環境に最も適した樹木を、お客さまと一緒に植える活動「植樹祭」を実施しています。緑あふれる環境に配慮した施設づくりを行うことで、全国のモールでは地域の“森”として、豊かな生態系が形成されています。
また当社では、生物多様性の取り組みの一環として「いきもの」を保全するアクション「まちのいきもの ( プラス ) 」を推進。今回は、イオンモール和歌山が和歌山大学と連携して取り組む「いきもの調査」についてご紹介します。

「いきもの調査」とは

現在温暖化などの影響により、1年間で40,000種もの生物が絶滅しているとされています。こうした状況を受け、イオンは地域の皆さまが生き物に触れる機会や、生物保全へのアクションをとるきっかけをつくることを目的に、2021年から「いきもの調査」を開始。各店舗で従業員が地域の皆さまと共に、「イオン ふるさとの森」に生息する鳥、昆虫、植物などを見つけて撮影し、AIで生き物を判定できるアプリ「Biome(バイオーム)」※に投稿するもので、2022までにイオングループの計101店舗が参加し、1,318種のいきものが見つかった。この取り組みでは、「イオン ふるさとの森」を定点観測することで、地域の生物分布の変化や外来種の拡大状況などをデータベース化し、活用することも見込まれている。当社では、2022年から「いきもの調査」に取り組み、16モールで実施した。さらに、2023年は20モールに拡大し、うち10モールが行政や地域の大学と協働で実施された。

※バイオームは、日本の約93,000種の動植物に対応している日本最大の生き物データベース。撮影したいきものの種類によってレア度が判定される。A〜Eまでの各ランクに分かれてポイントが得られ、ポイントを貯めるとユーザーのレベルがアップする仕組み。

イオンモール和歌山・和歌山大学が共創

イオンモール和歌山
(左) オペレーションマネージャー 糸山
(右)オペレーション担当 田村

2023年10月7日、イオンモール和歌山(以下、当モール)では、当モールから至近にある和歌山大学と協働で「いきもの調査」を実施した。和歌山大学との出会いは、遡ること10年前の開業時(2014年)から。和歌山大学システム工学部で生態系観測や地理情報・デジタルデバイスの融合について研究されている原教授から、「イオン ふるさとの森」を研究のフィールドとして調査したいとお声がけいただいた。以来、環境緑化事例の視察や利用者へのインタビュー調査、卒業研究での生物調査等、研究教育の場としても活用していただいてきた。その縁から、当モールで2022年に初めて実施した「いきもの調査」に参加いただくことになった。
「いきもの調査」を担当する当モールオペレーション担当の田村は、「2022年開催時にご好評いただいたため、2023年のいきもの調査へも参加しませんか? とお声がけしたところ、学生さんから『今年はぜひ運営側として参加したい』と返答をいただきました。学生さんが当社、運営側の活動に興味を持っていただけるのは、新たな発見でした」と話す。

当日は、原准教授ら教員や専門店従業員、そのご家族、イオンチアーズクラブで活動するお子さまに加え、「バイオーム」を手掛ける株式会社バイオームの開発者など、計25名が調査に参加。司会・進行を和歌山大学の学生2名が担った。原准教授からいきものに関するクイズ、「バイオーム」の開発者からアプリの使い方や開発の背景についての説明があり、その後調査がスタート。

それぞれがグループ毎に分かれて、原准教授やバイオームの開発者から生き物や環境について教えてもらいながら探索した。探索では、コガネムシの仲間の幼虫が育つほど土壌が育ってきていることや、絶滅が危惧される蝶がすぐ近くで舞っていることなども発見された。田村は、「小学生や中学生はもちろん、大人の方も多く参加され、夢中になっていたのが印象に残っています。また、専門家の方から環境づくりに関する学術的なお話などを聞きながら調査をすることができ、面白かったというお声もいただきました」と振り返る。調査終了後は各グループの代表者の方が見つけた生き物について発表、学生からは実施後の感想を発表した。和歌山大学と共に創り上げていった「いきもの調査」。オペレーションマネージャーの糸山は「今回、大学の先生方をはじめ、さまざまな団体の方にご参加いただいたことで私たちも発見が多く、視野が広がりました。それぞれにとって意義のあるイベントにすることができて良かったです」と話す。

参加者の集合写真
調査の様子

いきもの調査に参加された和歌山大学からのコメント

(左から)
和歌山大学 経済学部 設楽さん
和歌山大学 地域連携部局 後藤先生
和歌山大学 システム工学部 原准教授

(原教授):
イオンモールさんとは、最寄りの商業施設として開業時より研究教育の中で地域を深めてきました。今回、バイオームを活用した調査に参加することで、今後の自身の研究へも大きなヒントが見つかりました。

(設楽さん):
私は自然豊かな環境で育ったことから、里地里山の景観や生態の保全、子どもたちへの環境教育に関心を持つようになりました。今回、学内で呼びかけを見かけ、自分の関心に非常に近いと思い参加を決めました。運営する中で、子どもたちから大人までが、生き物探索に夢中になっている様子を見て、環境教育の楽しさや可能性を感じました。また、普段から利用しているイオンモールで、生き物探しを通して多様なコミュニケーションが生まれ、いつもとは違うワクワクを感じました。

(後藤先生):
実際に取り組んでみて、大学内のキャンパス内でも展開できれば面白い結果が得られそうだと思いました。専門分野の学生だけでなく、広く学生や教職員に呼びかけ、定期的に調査すれば生き物のデータ蓄積に活かされるのではないか、また、近隣の小学校や、イオンモールと大学の中間にある藤戸台の住宅地などでも調査を実施し、比較検証などもおもしろいのではないかと感じました。

(原准教授):
大学内外で多地点動物カメラによる哺乳類や鳥類の観測も継続して実施しています。案外イオンモールの敷地にも動物がいるかもしれず、今後も情報共有や成果の報告会などが実施できれば、より調査に厚みがでるのではないかと期待しています。

さらに規模を広げ、より地域共創のイベントに

今後の「いきもの調査」について、オペレーションマネージャーの糸山は「今後は一般のお客さまも巻き込んで広げていきたいと思います」と意気込む。イオンモール和歌山では、2023年5月に、紀州備長炭の原料になる木「ウバメガシ」をお客さまとともに植樹するほか、備長炭を身近に感じていただけるワークショップなどを開催し、その魅力をPRした。今後は、いきものの探索だけでなく、こういった環境に関するワークショップの同時開催なども検討しており、取り組みを広げていく。


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