事業等のリスク

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。ただし、将来の業績や財政状態に与えうるリスクや不確実性は、これらに限定されるものではありません。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年5月20日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1)リスクマネジメント推進体制

当社は、当社グループの損失の危険の管理に関する規程その他の体制として、リスク管理の最高責任者を代表取締役社長、各本部の責任者を担当業務執行取締役とし、事業の継続と人命の安全を確保するための体制と環境を整えています。また、危機の未然防止及び危機発生時の被害最小化を目的とした「経営危機管理規則(リスクマネジメント規定)」を策定し、リスクの減少及び被害の低減に努めています。

具体的には、当社グループに与える影響の高いリスク項目を選定し、項目毎に対応する主管部門を定め、当該部門がリスク対策のPDCAサイクルを行うことで、当社グループ全体の損失の危険を管理することを通じ、ブランド価値の毀損防止はもとより、企業価値の向上にも努めていきます。

さらに、緊急かつ重大な損失の危険が発生した場合は、「経営危機管理規則(リスクマネジメント規定)」に基づき適切な情報伝達及び意思決定を行い、被害を最小限に止めるなどの的確な対応を行います。

■リスク管理委員会の設置・活動概要

当社では、当社グループ全体のリスク管理運営状況の把握、リスク管理体制の持続的な見直し等リスク管理体制の維持向上を目的に、管理本部長を委員長とするリスク管理委員会を以下のとおり設置しています。リスク管理委員会では、リスク状況の分析、リスク回避のための継続的な活動並びに代表取締役社長への意見具申及びリスクマネジメント推進体制に関わる課題、対応策の審議を行います。また、重大インシデント等に対応するリスク対策についても、リスク管理委員会での議論を通じ、実効性の高い対策へ繋げています。

さらに、地震等の当日判断が必要なクライシスについては、別途、対策本部を設置し、迅速かつ的確な初期対応を行うとともに、事態の拡大防止と早期収束に対応します。

リスク管理委員会の活動頻度は、直近3年の開催状況として年5回程度開催しており、年度初め(3月)に、昨年度の取組内容及び本年度の取組方針について、取締役会へ報告しています。なお、国内外子会社においても株式会社OPA及び海外現地法人については国別にリスク管理委員会が設置されており、その審議内容は当社のリスク管理委員会へ情報共有されています。

当社のリスク管理委員会の構成メンバーは以下の通りとなります。

・委員長:管理本部長
・委員 :A)経営危機管理規則に定めるリスク対応主管部門の所属長
     B)委員長が指名する者
・事務局:法務部

(注)委員については、リスク管理体制の実効性向上を図るべく、当社グループに与える影響の高いリスク項目において、平常時のリスク予防とリスク発生時に事態を主体的に対応する部門の責任者を選定しています。

<リスクマネジメント推進体制図>

■リスクマネジメントプロセス

当社のリスク管理を行うにあたり、さまざまなリスクがある中で、効率的で効果的な管理を行うため、特に当社グループに影響を与えるリスク項目を特定し、そのリスク管理の体制をリスク管理委員会より代表取締役社長へ提言します。その後、各リスク項目の対応主管部門を選定し、当該部門によるリスク対策の立案・実施と振り返り、リスク管理委員会や内部監査による執行機関の実施状況のモニタリングを行い、リスク対策の実効性を評価します。

なお、特定した各リスク項目における対応主管部門のリスク対策の検討・進捗状況については、リスクの性質毎に経営戦略リスク、コンプライアンスリスク、その他のリスクの3つに区分して管理します。経営戦略リスクに関しては、重要な政策・経営課題について議論、意見交換を行う経営戦略諮問委員会において、テーマ毎に考え方や取り組みの方向性を検討する際に留意するとともに、その区分に応じて担当業務執行取締役を定め、当該取締役より四半期毎にリスク対策の進捗状況を取締役会に報告します。コンプライアンスリスクはコンプライアンス委員会にて、その他のリスクはリスク管理委員会にて同様に報告され、必要に応じリスク対策の内容・進捗について議論を行います。各リスク項目のリスク対策は、最終的に全てリスク管理委員会にて集約し管理します。

リスク対策の実施については、リスク対応主管部門より社内承認を経て、決定し実行します。

<リスクマネジメントプロセス図>

■リスクの特定

リスクの特定については、その性質により、当社グループに影響を与えるリスクを絞り込みます。特定の方法については次の通りです。

・リスクの洗い出し
取締役、監査役、従業員に対しリスクサーベイ(アンケート・ヒアリング)を実施し、定量的かつ定性的評価を実施。

・リスクマップによるリスク評価と特定
リスクサーベイの結果から、リスクの発生頻度と被害・影響の大きさを軸にリスクマップを作成。リスクを評価し、対策を行うべきリスクを特定。

・優先対策リスクマトリクスによる対策優先度の設定
特定されたリスクに対する既存の対策状況を踏まえ、対策の必要性を基に優先対策リスクマトリクスを作成し、優先対策すべきリスクを特定。

上記について、当社ではこれまで92項目のリスクを特定し、対策の優先度合いを踏まえたリスク対策を行っていましたが、2021年度にリスクサーベイを実施し、その結果を反映させ91項目のリスクへ更新し、現在はそのリスク対策を行っています。
なお、リスクサーベイの実施頻度は、中長期の経営計画に反映させることを目的に、数年単位での事業変化を踏まえ定期的に実施する予定としています。また、刻々と変化する事業環境に対応するため、リスクサーベイを実施しない年度においてもリスク評価の見直しを行い、必要に応じて優先対策すべきリスクを更新しています。

(2)事業等のリスク

当社は、国内・海外における最新の事業環境を踏まえ、当社グループの事業活動に影響を与える可能性があり、かつ全社的に管理すべきリスクを洗い出しています。リスクマップによるリスク評価および優先対策リスクマトリクスによって特定したリスク項目の内、リスク評価および対策必要性のいずれもが高いリスク項目を、以下の通り分類しています。

分類 リスク項目 リスク評価 対策必要性
事業戦略リスク ①事業環境の変化に関するリスク
②不動産開発及び投資に関するリスク
③人材の確保と育成に関するリスク
④ガバナンスに関するリスク H
財務関連リスク ⑤減損リスク
⑥資金調達・金利変動・為替変動に関するリスク
オペレーションリスク ⑦自然災害・事故・テロの発生に関するリスク H
⑧戦争・内乱・クーデターの発生に関するリスク
⑨感染症拡大に関するリスク
⑩情報セキュリティに関するリスク H
<事業戦略リスク>

①事業環境の変化に関するリスク

リスク評価 対策必要性
リスクシナリオ

(国内・海外における事業環境)
当社グループを取り巻く事業環境は、海外においては高い経済発展に伴う小売市場の高い成長性が見込まれる一方、競合ディベロッパーによる出店加速、世界規模での経済不況による成長減速の懸念等が考えられます。
国内においては、人口減少や少子高齢化に伴う人口動態や家族構成の変化に加え、Eコマースの拡大、節約志向、シェアリングなどの消費行動の変化が進んでいます。
さらに、デジタル技術やデータ活用における高度化の進展により、これらの変化はさらに加速的に進むことが見込まれます。こうした事業環境の変化に当社が十分に対応できなかった場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(テナント企業における動向)
当社グループが管理・運営するモールの主要テナントは小売・サービス企業であり、景気や個人消費の動向に影響を受けやすい傾向にあることから、経済情勢が悪化した場合や、他の不動産ディベロッパーや小売企業との競争が激化した場合には、テナントのリーシング条件の悪化や空床区画の増加が発生する等、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(サステナビリティ課題への対応)
気候変動への対応、生物多様性の保護といった環境課題や、人権の尊重、従業員の労働環境への配慮、公正・適正な取引慣行といった社会課題など、サステナビリティを巡る課題への対応強化が不可欠となっていますが、これらの課題に対し十分に対応できなかった場合には、お客さま、地域社会、パートナー企業さま、従業員、株主・投資家さま等のステークホルダーからの当社に対する支持が低下し、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

対策

(国内・海外における事業環境)
当社グループは、商業施設という枠組みにとらわれることなく、地域や社会が抱える課題にソリューションを提供することを事業とし、当社グループが展開するショッピングモールが地域コミュニティにおける中核施設・社会的インフラとしての地位を確立することをめざしています。
海外においては、社会インフラ整備を柱とした経済政策がすすめられていることから、当社では都市化が進展し、街づくりが進められているマーケット成長性が高いエリアにおいて物件開発を推進し、新規出店を進めています。日本で培ったモールの管理・運営ノウハウを活かした競争力のあるモール開発により、競合ディベロッパーとの差別化を図っています。
国内においては、エリア別のニーズに対応した増床活性化や地域インフラ機能の拡充等によるローカライズの取り組みを通じて、エリア№1モールとしてのポジションを確立し、地域におけるマーケットシェアを高めていきます。また、複合型施設や地域創生型施設等、立地特性に応じて開発パターンの多様化を図っています。
DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進においては、地域社会の課題や消費環境の大きな変化を視野に入れ、お客さまのライフステージに応じた新たな価値創造のための事業開拓、デジタル技術やデータを活用した地域やパートナーとの共創による新たなビジネスモデルの創出、次世代に対応するオペレーションシステムの確立に向けた取り組みを推し進めています。

(テナント企業における動向)
リーシング面では、国内外におけるテナント企業とのリレーションシップを活かし、新規テナントの誘致や新たな業態開発等による付加価値の提供を通じて、お客さまにとって魅力あるモールづくりを推進しています。

(サステナビリティ課題への対応)
サステナビリティを巡る課題への対応としては、当社はSDGsと日本および海外における社会課題を考慮したマテリアリティ分析を実施、ステークホルダー及び自社にとっての重要度を評価し、ESG視点での重要課題として5 分野10 項目からなるマテリアリティを定めており、全社で課題を共有し一体となって解決に取り組むことで、地域のお客さまや持続可能な社会の実現に向けて貢献してまいります。

②不動産開発及び投資に関するリスク

リスク評価 対策必要性
リスクシナリオ

当社グループでは、市場調査、用地選定、用地確保に向けた地権者との交渉から法的手続き、モールの建設、テナント募集を経て開店に至るため、モール開発にかかる期間が長期にわたり、かつ投資が多額となるため、投資回収までは一定の期間を要します。天候不順、自然災害、開発地域の環境汚染、許認可の取得遅延、地域住民からの反対等により、開発スケジュールに遅延が生じた場合、また、不動産価格の上昇により不動産の取得および賃借にかかるコストが増加した場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
同様に、既存店舗に対するリニューアルを中心とした投資においても、リニューアル実施にかかる期間が長期にわたり、かつ投資が多額となるため、投資回収までは一定の期間を要します。リニューアルのスケジュールに遅延が生じた場合や、施設の老朽化に伴う建物・設備の修繕コストが増加した場合等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

対策

当社グループでは、各部門が連携し、将来の開発物件やリニューアル物件のスケジュールや進捗管理を実施するとともに、想定されるリスクシナリオを把握・分析したうえで、収益・コスト面で最適なプランに基づく計画を策定し、事業を推進する体制を整えています。また、国内、海外の新規出店および増床活性化においては、事業計画に対する責任部門を明確したうえで意思決定を行っており、明確な投資採算基準による運用のもと、損益計画の妥当性及び投資回収の実現性を取締役会、経営会議で審議しております。

③人材の確保と育成に関するリスク

リスク評価 対策必要性
リスクシナリオ

当社グループは、国内事業および成長ドライバーである中国・アセアンにおける海外事業の事業拠点拡大と収益力強化に向けた基盤づくりを推し進めており、グローバルな視点で高いマネジメント能力やリーダーシップを発揮できる人材の確保・育成が必要となります。
特に国内では、少子高齢化の進展に伴う労働人口の減少等の影響もあり、事業拡大に必要な人材の確保・育成が計画通りに進まない場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

対策

当社グループでは、人材こそが持続的成長を実現していくための最大の経営資源であるという考えのもと、多様な人材が健康で能力を発揮し続けられる企業をめざし、人的資源への投資により成長戦略を推進しています。
急速な社会変化に対応し、ビジネスモデルを革新していくためにダイバーシティ経営を推進しており、多様な従業員が個性や能力を発揮し活躍できる制度や職場環境の整備を進めています。
教育面では、従業員の職位や成長度合いに応じた研修や、海外事業の将来を担う人材育成のための国内・海外間における活発な人材交流を行うほか、将来の経営幹部人材を育成するABS(イオンビジネススクール)等、様々な人材育成・教育プログラムを整備しています。
人員の異動配置においても社員の自律的なキャリア形成を促し、日々の業務へのモチベーション向上のため、社内公募制度の拡大を図っています。
取締役・監査役に対しては、より高いリーダーシップと経営戦略を培う能力開発や、コンプライアンス、ガバナンスの知識向上のために経営幹部対象のトレーニング機会を提供しています。また、経営者候補の育成においては、経営責任者として必要な基準やキャリアプラン、育成方針・計画などについて、透明性・公正性を確保するために、独立社外役員を中心に構成する指名・報酬諮問委員会で協議を行っております。

④ガバナンスに関するリスク

リスク評価 H 対策必要性
リスクシナリオ

(当社グループにおけるガバナンス)
取締役会が十分かつ適切な情報を得られず、業務執行部門に対する監督が機能不全に陥ることで、企業理念や経営戦略に即した経営判断がなされなかった場合や、職務権限規程や決裁・承認プロセスにおける不備等によってチェック・けん制機能が適切に機能しない状況が生じ、重大な事件や不祥事が発生した場合等、当社グループの経営成績および財政状態、信用力に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループにおけるガバナンスが十分に機能しないことで、グループ子会社の業務を把握できないこと等を背景とした重大な事件や不祥事の発生、買収・合併時においてシナジーが発揮できない等、子会社の業績が著しく悪化した場合、当社グループの経営成績および財政状態、信用力に影響を及ぼす可能性があります。

(イオン株式会社及び同社の関係会社との取引におけるガバナンス)
当社グループは、イオン株式会社(以下、「同社」)および同社の連結子会社等(以下、「イオングループ各社」)により構成する企業グループに属しており、親会社である同社との緊密な関係を活かして、ショッピングモールの管理・運営を行っています。
親会社である同社と当社グループの少数株主との間には潜在的な利益相反の関係があり、同社からの独立性が十分に確保できず、同社との取引条件が少数株主の権利や利益を毀損する条件となった場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、モールの開発においては、集客力のある核テナントの役割は非常に重要であり、今後、当社グループが開発するモールに関して、同社子会社であるイオンリテール株式会社等が運営する総合スーパー「イオン」「イオンスタイル」が核テナントとなることが予想されます。当社グループがモールの開発を進める上で安定的に核テナントを誘致できるという面で有利な条件となっておりますが、同社およびイオングループ各社の実績、出店方針、既存店の廃止方針等により、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

対策

(当社グループにおけるガバナンス)
当社の取締役会は、取締役13名中5名を独立社外取締役で構成しており、様々な分野において豊富な経験と高い見識を有する社外取締役から意思決定における妥当性・適正性を確保するための助言・提言を得て審議を進めることで監督機能の強化を図っています。また、当社はコンプライアンス経営を重視し、職務執行においては「イオン行動規範」や「贈賄防止基本規則」等を遵守するとともに、管理本部長を委員長とするコンプライアンス委員会を設け、法令、定款および社内規定等の遵守状況の確認と改善策について審議を行い、重要案件については取締役会に報告しています。
当社は、関係会社管理規則に基づき、子会社管理における承認事項を確認し、権限規則に則り承認手続きを行っており、子会社との取引においては「関連当事者取引管理規則」に則り、取引条件の客観性を確保しています。また、子会社における職務執行の効率性を確保するための体制として、当社の取締役会において子会社を含めた当社グループの中期経営計画、年度経営目標及び予算配分等を承認し、四半期ごとにそれらに沿った事業戦略及び諸施策の進捗状況を検証するとともに、その他重要な情報について報告を受けます。

(イオン株式会社及び同社の関係会社との取引におけるガバナンス)
当社では、利益相反取引の監督を目的として、2021年11月に独立社外取締役5名により構成するガバナンス委員会を設置しました。支配株主と少数株主との利益が相反する重要な取引・行為については、取引の重要性に応じて同委員会で審議・検討を行い、当社の企業価値向上の観点から当該取引の公正性および合理性が確保されていることを検証したうえで、取締役会での審議を経て承認を得ることとし、利益相反取引に対する監督機能はより強化されました。また、同社を含めた関連当事者間の取引においては、「関連当事者取引管理規則」に則り、取引条件の客観性を確保しております。
また、当社は、日常の事業運営にあたっては、独自の経営判断に基づき遂行しつつ、事業運営における重要な問題については、同社との協議もしくは同社への報告を行っております。同社ならびにイオングループ各社とは、相互に自主・独自性を十分に尊重しつつ綿密な連携を保ちながら、持続的な成長、発展、業績の向上に努めております。
なお、当社グループの営業収益に対するイオンリテール株式会社の占める比率は2022年2月期10.3%であり、イオンリテール株式会社以外の「イオングループ各社」の合計が占める比率は同10.7%であります。

<財務関連リスク>

⑤減損リスク

リスク評価 対策必要性
リスクシナリオ

当社グループが保有する事業用固定資産については、経営環境の著しい悪化、テナント退店による空床の拡大等により各モールの営業損益の赤字が続いた場合や、保有する土地の市場価格が著しく下落した場合等において、減損損失が発生することにより、当社グループの経営成績および財政状態、信用力に影響を及ぼす可能性があります。

対策

当社グループは、想定されるリスクシナリオを把握・分析したうえで、収益・コスト面で最適なプランを策定しており、一定額以上の投資案件については、損益計画の妥当性及び投資回収の実現性を取締役会、経営会議で審議し、投資採算計画の精度向上に努めております。
開業後のモールについては、営業状況について全社ベースの会議体にて検証を行っている他、開業後一定期間経過後のモールについて、投資採算の実績検証結果を取締役会に報告しております。減損損失の懸念があるモールに対しては、対策プロジェクト(バリューアッププロジェクト)チームを組成し、主に収益改善に向けた施策の実行により、減損リスクの削減に努めております。

⑥資金調達・金利変動・為替変動に関するリスク

リスク評価 対策必要性
リスクシナリオ

当社グループは、成長戦略に基づくモール開発にかかる資金を、主に金融機関からの借入や社債発行、リース活用、増資等により調達しており、金融市場の混乱や当社グループの事業見通しの悪化、信用力の低下等の要因により、当社グループの望む条件にて適時に資金調達が実施できない可能性があります。なお、市場金利が上昇した場合には、モール開発にかかる資金および借り換え時における資金調達コストの増加、リース活用時における物件オーナーへの支払賃料の上昇等により、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、今後の成長ドライバーである中国・アセアンにおける海外事業を拡大しており、海外の開発物件における資材調達等、外貨建て取引が増加していることから、為替相場変動の影響を受けるため、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

対策

当社グループは、原則、固定金利による資金調達を実施しており、為替変動リスクの一部については為替予約及び通貨スワップによるヘッジを実施しております。また、資金調達(借入)先および資金調達手段の多様化を進めつつ、有利子負債残高のコントロール等による信用格付の維持・向上に努め、必要な資金調達枠を確保するとともに、調達環境が急変した状況においても必要な運転資金を即時に調達できるようにコミットメントラインを設定しております。

<オペレーションリスク>

⑦自然災害・事故・テロの発生に関するリスク

リスク評価 H 対策必要性
リスクシナリオ

当社グループは、国内外で事業を展開していることから、出店する国・エリアにおいて、大規模地震、台風、集中豪雨等の自然災害や、火災・停電等の人為的な事故、あるいは人命を危機にさらす暴動・テロ等の発生により、当社グループが管理・運営するモールに毀損、焼失、劣化等の甚大な被害が生じ、休業を余儀なくされた場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

対策

当社グループでは、自然災害や疫病・事故等に対応する経営危機管理規則および経営危機関連諸規定の整備・周知徹底、大規模地震やテロ活動を想定した防災訓練の実施、有事の際に損害を最小限に抑えるためのリスク対応体制の整備・強化を継続的に実施しております。
建物・設備面の対策としては、耐震補強の実施や防煙垂れ壁のシート化等による大規模地震発生時の被害軽減対策、水害による浸水可能性があるモールには止水板の設置等の対策を講じております。
また、当社グループは、運営する全モールを対象とする火災保険及び火災水害等大規模災害罹災時の喪失賃料等を補償する利益保険に加入しております。地震保険については、イオングループ合同の保険に加入しており、地震に対するリスクの適正管理に努めております。

⑧戦争・内乱・クーデターの発生に関するリスク

リスク評価 対策必要性
リスクシナリオ

当社グループは、国内外で事業を展開していることから、出店する国・エリアにおける戦争・内乱・クーデター等が発生すると、当社グループが管理・運営するモールに毀損、焼失、劣化等の甚大な被害が生じる可能性があります。その場合、長期間にわたるモールの休業、国内外におけるテナント撤退に伴う空床拡大、被害を受けたモール再建にかかるコスト等が発生することにより、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

対策

当社グループでは、特に海外での事業展開にあたっては、出店国・エリアの政府や現地企業等との提携により事業を推進することが多く、相手先との緊密なコミュニケーションを通じた情報収集に努めております。
また、経営危機管理規則、緊急事態対応マニュアル等の各種規定やマニュアルの整備を完了し、インシデントを基にした改訂を実施しています。また、各国におけるBCP(事業継続計画)に基づく訓練の実施、危機管理に関する従業員への教育等の対策を講じることで、有事においても適切な対応を実現する体制の維持・向上に努めております。

⑨感染症拡大に関するリスク

リスク評価 対策必要性
リスクシナリオ

当社グループは、国内外でモール事業を展開しており、出店国・エリアにおいて大規模かつ深刻な感染症が流行した場合、各国政府や自治体によるロックダウン(都市封鎖)や活動自粛要請等により外出機会が減少し、お客さまの価値観や消費行動が変容する可能性があります。また、当社グループが管理・運営するモールにおいて、臨時休業や営業時間の短縮、出店計画の変更を余儀なくされる等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大は、世界経済の減速およびお客さまの生活様式に変化をもたらしており、また、ウイルスの変異に伴う再拡大など収束時期を見通すことは困難な状況にあることから、今後も先行き不透明な事業環境が続くことが予想されます。

対策

当社グループでは、感染防止対策として、お客さま、テナントおよび当社従業員の健康と生活を守り、お客さまとともに地域社会の安全・安心な生活を守ることを目的とし制定したイオンの防疫対策等の基準「イオン新型コロナウイルス防疫プロトコル」に基づき、徹底した感染防止対策のもと、モール館内の環境改善やモールオペレーション体制による管理・運営を行っています。さらに、科学的なアプローチによる分析を踏まえ、継続的に防疫対策の改善を進めています。
お客さまの価値観や消費行動の変容に対しては、新常態(ニューノーマル)における新たなモールコンセプトやサービス機能の提供等、従来のビジネスモデルからの変革を進めていく好機ととらえ、国内外において社会変化に対応したモールづくりに取り組んでいます。
また、従業員が健康かつ安全に働くことができるように、検温等による体調管理の徹底や在宅勤務の推進により感染拡大防止に努めております。さらに、TV会議システムの活用やリモートワークの環境整備等により業務効率化を推進し、働き方改革の実現に向けた取り組みを進めています。

⑩情報セキュリティに関するリスク

リスク評価 H 対策必要性
リスクシナリオ

当社グループでは、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進等、事業活動における情報システムの重要性は非常に高まっており、大規模な自然災害等によりデータセンターが被災し情報システムに障害が生じた場合、事業活動の継続に支障をきたす可能性があります。
また、サイバー攻撃による被害や不測の事態の発生可能性は高まっており、お客さまや従業員などの個人情報や業務上の機密情報等の外部流出や改ざん等が発生した場合、当社グループの社会的信用の低下および損害賠償による多額の費用負担が生じる等、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

対策

情報システムの停止リスクに対しては、主に稼働しているデータセンターに加え、遠隔地にバックアップのデータセンターを待機稼働しています。メインのデータセンターに障害が発生した場合も復旧可能な体制を整備しており、当社グループで運用中のBCPを更に強化し、大規模な自然災害等による当社グループの事業への影響の極小化を図っております。
情報の外部流出・改ざん等のリスクに対しては、サイバー攻撃対策として、業務用端末へのウイルス対策ソフトの導入、ネットワーク通信ログの収集ツールの導入、業務用端末における外部記憶媒体の利用制御等を実施しております。また、運用面では、外部システムを導入する際の担当部門によるセキュリティチェックの定期的な実施や、利用アプリケーション等への最新セキュリティパッチの適用、従業員への情報セキュリティ教育の実施、定期的な情報システムのセキュリティチェック等の対策を講じております。

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。ただし、将来の業績や財政状態に与えうるリスクや不確実性は、これらに限定されるものではありません。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年5月20日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1)リスクマネジメント推進体制

当社は、当社グループの損失の危険の管理に関する規程その他の体制として、リスク管理の最高責任者を代表取締役社長、各本部の責任者を担当業務執行取締役とし、事業の継続と人命の安全を確保するための体制と環境を整えています。また、危機の未然防止及び危機発生時の被害最小化を目的とした「経営危機管理規則(リスクマネジメント規定)」を策定し、リスクの減少及び被害の低減に努めています。

具体的には、当社グループに与える影響の高いリスク項目を選定し、項目毎に対応する主管部門を定め、当該部門がリスク対策のPDCAサイクルを行うことで、当社グループ全体の損失の危険を管理することを通じ、ブランド価値の毀損防止はもとより、企業価値の向上にも努めていきます。

さらに、緊急かつ重大な損失の危険が発生した場合は、「経営危機管理規則(リスクマネジメント規定)」に基づき適切な情報伝達及び意思決定を行い、被害を最小限に止めるなどの的確な対応を行います。

■リスク管理委員会の設置・活動概要

当社では、当社グループ全体のリスク管理運営状況の把握、リスク管理体制の持続的な見直し等リスク管理体制の維持向上を目的に、管理本部長を委員長とするリスク管理委員会を以下のとおり設置しています。リスク管理委員会では、リスク状況の分析、リスク回避のための継続的な活動並びに代表取締役社長への意見具申及びリスクマネジメント推進体制に関わる課題、対応策の審議を行います。また、重大インシデント等に対応するリスク対策についても、リスク管理委員会での議論を通じ、実効性の高い対策へ繋げています。

さらに、地震等の当日判断が必要なクライシスについては、別途、対策本部を設置し、迅速かつ的確な初期対応を行うとともに、事態の拡大防止と早期収束に対応します。

リスク管理委員会の活動頻度は、直近3年の開催状況として年5回程度開催しており、年度初め(3月)に、昨年度の取組内容及び本年度の取組方針について、取締役会へ報告しています。なお、国内外子会社においても株式会社OPA及び海外現地法人については国別にリスク管理委員会が設置されており、その審議内容は当社のリスク管理委員会へ情報共有されています。

当社のリスク管理委員会の構成メンバーは以下の通りとなります。

・委員長:管理本部長
・委員 :A)経営危機管理規則に定めるリスク対応主管部門の所属長
     B)委員長が指名する者
・事務局:法務部

(注)委員については、リスク管理体制の実効性向上を図るべく、当社グループに与える影響の高いリスク項目において、平常時のリスク予防とリスク発生時に事態を主体的に対応する部門の責任者を選定しています。

<リスクマネジメント推進体制図>

■リスクマネジメントプロセス

当社のリスク管理を行うにあたり、さまざまなリスクがある中で、効率的で効果的な管理を行うため、特に当社グループに影響を与えるリスク項目を特定し、そのリスク管理の体制をリスク管理委員会より代表取締役社長へ提言します。その後、各リスク項目の対応主管部門を選定し、当該部門によるリスク対策の立案・実施と振り返り、リスク管理委員会や内部監査による執行機関の実施状況のモニタリングを行い、リスク対策の実効性を評価します。

なお、特定した各リスク項目における対応主管部門のリスク対策の検討・進捗状況については、リスクの性質毎に経営戦略リスク、コンプライアンスリスク、その他のリスクの3つに区分して管理します。経営戦略リスクに関しては、重要な政策・経営課題について議論、意見交換を行う経営戦略諮問委員会において、テーマ毎に考え方や取り組みの方向性を検討する際に留意するとともに、その区分に応じて担当業務執行取締役を定め、当該取締役より四半期毎にリスク対策の進捗状況を取締役会に報告します。コンプライアンスリスクはコンプライアンス委員会にて、その他のリスクはリスク管理委員会にて同様に報告され、必要に応じリスク対策の内容・進捗について議論を行います。各リスク項目のリスク対策は、最終的に全てリスク管理委員会にて集約し管理します。

リスク対策の実施については、リスク対応主管部門より社内承認を経て、決定し実行します。

<リスクマネジメントプロセス図>

■リスクの特定

リスクの特定については、その性質により、当社グループに影響を与えるリスクを絞り込みます。特定の方法については次の通りです。

・リスクの洗い出し
取締役、監査役、従業員に対しリスクサーベイ(アンケート・ヒアリング)を実施し、定量的かつ定性的評価を実施。

・リスクマップによるリスク評価と特定
リスクサーベイの結果から、リスクの発生頻度と被害・影響の大きさを軸にリスクマップを作成。リスクを評価し、対策を行うべきリスクを特定。

・優先対策リスクマトリクスによる対策優先度の設定
特定されたリスクに対する既存の対策状況を踏まえ、対策の必要性を基に優先対策リスクマトリクスを作成し、優先対策すべきリスクを特定。

上記について、当社ではこれまで92項目のリスクを特定し、対策の優先度合いを踏まえたリスク対策を行っていましたが、2021年度にリスクサーベイを実施し、その結果を反映させ91項目のリスクへ更新し、現在はそのリスク対策を行っています。
なお、リスクサーベイの実施頻度は、中長期の経営計画に反映させることを目的に、数年単位での事業変化を踏まえ定期的に実施する予定としています。また、刻々と変化する事業環境に対応するため、リスクサーベイを実施しない年度においてもリスク評価の見直しを行い、必要に応じて優先対策すべきリスクを更新しています。

(2)事業等のリスク

当社は、国内・海外における最新の事業環境を踏まえ、当社グループの事業活動に影響を与える可能性があり、かつ全社的に管理すべきリスクを洗い出しています。リスクマップによるリスク評価および優先対策リスクマトリクスによって特定したリスク項目の内、リスク評価および対策必要性のいずれもが高いリスク項目を、以下の通り分類しています。

分類 リスク項目 リスク評価 対策必要性
事業戦略リスク ①事業環境の変化に関するリスク
②不動産開発及び投資に関するリスク
③人材の確保と育成に関するリスク
④ガバナンスに関するリスク H
財務関連リスク ⑤減損リスク
⑥資金調達・金利変動・為替変動に関するリスク
オペレーションリスク ⑦自然災害・事故・テロの発生に関するリスク H
⑧戦争・内乱・クーデターの発生に関するリスク
⑨感染症拡大に関するリスク
⑩情報セキュリティに関するリスク H
<事業戦略リスク>

①事業環境の変化に関するリスク

リスク評価 対策必要性
リスクシナリオ

(国内・海外における事業環境)
当社グループを取り巻く事業環境は、海外においては高い経済発展に伴う小売市場の高い成長性が見込まれる一方、競合ディベロッパーによる出店加速、世界規模での経済不況による成長減速の懸念等が考えられます。
国内においては、人口減少や少子高齢化に伴う人口動態や家族構成の変化に加え、Eコマースの拡大、節約志向、シェアリングなどの消費行動の変化が進んでいます。
さらに、デジタル技術やデータ活用における高度化の進展により、これらの変化はさらに加速的に進むことが見込まれます。こうした事業環境の変化に当社が十分に対応できなかった場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(テナント企業における動向)
当社グループが管理・運営するモールの主要テナントは小売・サービス企業であり、景気や個人消費の動向に影響を受けやすい傾向にあることから、経済情勢が悪化した場合や、他の不動産ディベロッパーや小売企業との競争が激化した場合には、テナントのリーシング条件の悪化や空床区画の増加が発生する等、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(サステナビリティ課題への対応)
気候変動への対応、生物多様性の保護といった環境課題や、人権の尊重、従業員の労働環境への配慮、公正・適正な取引慣行といった社会課題など、サステナビリティを巡る課題への対応強化が不可欠となっていますが、これらの課題に対し十分に対応できなかった場合には、お客さま、地域社会、パートナー企業さま、従業員、株主・投資家さま等のステークホルダーからの当社に対する支持が低下し、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

対策

(国内・海外における事業環境)
当社グループは、商業施設という枠組みにとらわれることなく、地域や社会が抱える課題にソリューションを提供することを事業とし、当社グループが展開するショッピングモールが地域コミュニティにおける中核施設・社会的インフラとしての地位を確立することをめざしています。
海外においては、社会インフラ整備を柱とした経済政策がすすめられていることから、当社では都市化が進展し、街づくりが進められているマーケット成長性が高いエリアにおいて物件開発を推進し、新規出店を進めています。日本で培ったモールの管理・運営ノウハウを活かした競争力のあるモール開発により、競合ディベロッパーとの差別化を図っています。
国内においては、エリア別のニーズに対応した増床活性化や地域インフラ機能の拡充等によるローカライズの取り組みを通じて、エリア№1モールとしてのポジションを確立し、地域におけるマーケットシェアを高めていきます。また、複合型施設や地域創生型施設等、立地特性に応じて開発パターンの多様化を図っています。
DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進においては、地域社会の課題や消費環境の大きな変化を視野に入れ、お客さまのライフステージに応じた新たな価値創造のための事業開拓、デジタル技術やデータを活用した地域やパートナーとの共創による新たなビジネスモデルの創出、次世代に対応するオペレーションシステムの確立に向けた取り組みを推し進めています。

(テナント企業における動向)
リーシング面では、国内外におけるテナント企業とのリレーションシップを活かし、新規テナントの誘致や新たな業態開発等による付加価値の提供を通じて、お客さまにとって魅力あるモールづくりを推進しています。

(サステナビリティ課題への対応)
サステナビリティを巡る課題への対応としては、当社はSDGsと日本および海外における社会課題を考慮したマテリアリティ分析を実施、ステークホルダー及び自社にとっての重要度を評価し、ESG視点での重要課題として5 分野10 項目からなるマテリアリティを定めており、全社で課題を共有し一体となって解決に取り組むことで、地域のお客さまや持続可能な社会の実現に向けて貢献してまいります。

②不動産開発及び投資に関するリスク

リスク評価 対策必要性
リスクシナリオ

当社グループでは、市場調査、用地選定、用地確保に向けた地権者との交渉から法的手続き、モールの建設、テナント募集を経て開店に至るため、モール開発にかかる期間が長期にわたり、かつ投資が多額となるため、投資回収までは一定の期間を要します。天候不順、自然災害、開発地域の環境汚染、許認可の取得遅延、地域住民からの反対等により、開発スケジュールに遅延が生じた場合、また、不動産価格の上昇により不動産の取得および賃借にかかるコストが増加した場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
同様に、既存店舗に対するリニューアルを中心とした投資においても、リニューアル実施にかかる期間が長期にわたり、かつ投資が多額となるため、投資回収までは一定の期間を要します。リニューアルのスケジュールに遅延が生じた場合や、施設の老朽化に伴う建物・設備の修繕コストが増加した場合等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

対策

当社グループでは、各部門が連携し、将来の開発物件やリニューアル物件のスケジュールや進捗管理を実施するとともに、想定されるリスクシナリオを把握・分析したうえで、収益・コスト面で最適なプランに基づく計画を策定し、事業を推進する体制を整えています。また、国内、海外の新規出店および増床活性化においては、事業計画に対する責任部門を明確したうえで意思決定を行っており、明確な投資採算基準による運用のもと、損益計画の妥当性及び投資回収の実現性を取締役会、経営会議で審議しております。

③人材の確保と育成に関するリスク

リスク評価 対策必要性
リスクシナリオ

当社グループは、国内事業および成長ドライバーである中国・アセアンにおける海外事業の事業拠点拡大と収益力強化に向けた基盤づくりを推し進めており、グローバルな視点で高いマネジメント能力やリーダーシップを発揮できる人材の確保・育成が必要となります。
特に国内では、少子高齢化の進展に伴う労働人口の減少等の影響もあり、事業拡大に必要な人材の確保・育成が計画通りに進まない場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

対策

当社グループでは、人材こそが持続的成長を実現していくための最大の経営資源であるという考えのもと、多様な人材が健康で能力を発揮し続けられる企業をめざし、人的資源への投資により成長戦略を推進しています。
急速な社会変化に対応し、ビジネスモデルを革新していくためにダイバーシティ経営を推進しており、多様な従業員が個性や能力を発揮し活躍できる制度や職場環境の整備を進めています。
教育面では、従業員の職位や成長度合いに応じた研修や、海外事業の将来を担う人材育成のための国内・海外間における活発な人材交流を行うほか、将来の経営幹部人材を育成するABS(イオンビジネススクール)等、様々な人材育成・教育プログラムを整備しています。
人員の異動配置においても社員の自律的なキャリア形成を促し、日々の業務へのモチベーション向上のため、社内公募制度の拡大を図っています。
取締役・監査役に対しては、より高いリーダーシップと経営戦略を培う能力開発や、コンプライアンス、ガバナンスの知識向上のために経営幹部対象のトレーニング機会を提供しています。また、経営者候補の育成においては、経営責任者として必要な基準やキャリアプラン、育成方針・計画などについて、透明性・公正性を確保するために、独立社外役員を中心に構成する指名・報酬諮問委員会で協議を行っております。

④ガバナンスに関するリスク

リスク評価 H 対策必要性
リスクシナリオ

(当社グループにおけるガバナンス)
取締役会が十分かつ適切な情報を得られず、業務執行部門に対する監督が機能不全に陥ることで、企業理念や経営戦略に即した経営判断がなされなかった場合や、職務権限規程や決裁・承認プロセスにおける不備等によってチェック・けん制機能が適切に機能しない状況が生じ、重大な事件や不祥事が発生した場合等、当社グループの経営成績および財政状態、信用力に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループにおけるガバナンスが十分に機能しないことで、グループ子会社の業務を把握できないこと等を背景とした重大な事件や不祥事の発生、買収・合併時においてシナジーが発揮できない等、子会社の業績が著しく悪化した場合、当社グループの経営成績および財政状態、信用力に影響を及ぼす可能性があります。

(イオン株式会社及び同社の関係会社との取引におけるガバナンス)
当社グループは、イオン株式会社(以下、「同社」)および同社の連結子会社等(以下、「イオングループ各社」)により構成する企業グループに属しており、親会社である同社との緊密な関係を活かして、ショッピングモールの管理・運営を行っています。
親会社である同社と当社グループの少数株主との間には潜在的な利益相反の関係があり、同社からの独立性が十分に確保できず、同社との取引条件が少数株主の権利や利益を毀損する条件となった場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、モールの開発においては、集客力のある核テナントの役割は非常に重要であり、今後、当社グループが開発するモールに関して、同社子会社であるイオンリテール株式会社等が運営する総合スーパー「イオン」「イオンスタイル」が核テナントとなることが予想されます。当社グループがモールの開発を進める上で安定的に核テナントを誘致できるという面で有利な条件となっておりますが、同社およびイオングループ各社の実績、出店方針、既存店の廃止方針等により、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

対策

(当社グループにおけるガバナンス)
当社の取締役会は、取締役13名中5名を独立社外取締役で構成しており、様々な分野において豊富な経験と高い見識を有する社外取締役から意思決定における妥当性・適正性を確保するための助言・提言を得て審議を進めることで監督機能の強化を図っています。また、当社はコンプライアンス経営を重視し、職務執行においては「イオン行動規範」や「贈賄防止基本規則」等を遵守するとともに、管理本部長を委員長とするコンプライアンス委員会を設け、法令、定款および社内規定等の遵守状況の確認と改善策について審議を行い、重要案件については取締役会に報告しています。
当社は、関係会社管理規則に基づき、子会社管理における承認事項を確認し、権限規則に則り承認手続きを行っており、子会社との取引においては「関連当事者取引管理規則」に則り、取引条件の客観性を確保しています。また、子会社における職務執行の効率性を確保するための体制として、当社の取締役会において子会社を含めた当社グループの中期経営計画、年度経営目標及び予算配分等を承認し、四半期ごとにそれらに沿った事業戦略及び諸施策の進捗状況を検証するとともに、その他重要な情報について報告を受けます。

(イオン株式会社及び同社の関係会社との取引におけるガバナンス)
当社では、利益相反取引の監督を目的として、2021年11月に独立社外取締役5名により構成するガバナンス委員会を設置しました。支配株主と少数株主との利益が相反する重要な取引・行為については、取引の重要性に応じて同委員会で審議・検討を行い、当社の企業価値向上の観点から当該取引の公正性および合理性が確保されていることを検証したうえで、取締役会での審議を経て承認を得ることとし、利益相反取引に対する監督機能はより強化されました。また、同社を含めた関連当事者間の取引においては、「関連当事者取引管理規則」に則り、取引条件の客観性を確保しております。
また、当社は、日常の事業運営にあたっては、独自の経営判断に基づき遂行しつつ、事業運営における重要な問題については、同社との協議もしくは同社への報告を行っております。同社ならびにイオングループ各社とは、相互に自主・独自性を十分に尊重しつつ綿密な連携を保ちながら、持続的な成長、発展、業績の向上に努めております。
なお、当社グループの営業収益に対するイオンリテール株式会社の占める比率は2022年2月期10.3%であり、イオンリテール株式会社以外の「イオングループ各社」の合計が占める比率は同10.7%であります。

<財務関連リスク>

⑤減損リスク

リスク評価 対策必要性
リスクシナリオ

当社グループが保有する事業用固定資産については、経営環境の著しい悪化、テナント退店による空床の拡大等により各モールの営業損益の赤字が続いた場合や、保有する土地の市場価格が著しく下落した場合等において、減損損失が発生することにより、当社グループの経営成績および財政状態、信用力に影響を及ぼす可能性があります。

対策

当社グループは、想定されるリスクシナリオを把握・分析したうえで、収益・コスト面で最適なプランを策定しており、一定額以上の投資案件については、損益計画の妥当性及び投資回収の実現性を取締役会、経営会議で審議し、投資採算計画の精度向上に努めております。
開業後のモールについては、営業状況について全社ベースの会議体にて検証を行っている他、開業後一定期間経過後のモールについて、投資採算の実績検証結果を取締役会に報告しております。減損損失の懸念があるモールに対しては、対策プロジェクト(バリューアッププロジェクト)チームを組成し、主に収益改善に向けた施策の実行により、減損リスクの削減に努めております。

⑥資金調達・金利変動・為替変動に関するリスク

リスク評価 対策必要性
リスクシナリオ

当社グループは、成長戦略に基づくモール開発にかかる資金を、主に金融機関からの借入や社債発行、リース活用、増資等により調達しており、金融市場の混乱や当社グループの事業見通しの悪化、信用力の低下等の要因により、当社グループの望む条件にて適時に資金調達が実施できない可能性があります。なお、市場金利が上昇した場合には、モール開発にかかる資金および借り換え時における資金調達コストの増加、リース活用時における物件オーナーへの支払賃料の上昇等により、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、今後の成長ドライバーである中国・アセアンにおける海外事業を拡大しており、海外の開発物件における資材調達等、外貨建て取引が増加していることから、為替相場変動の影響を受けるため、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

対策

当社グループは、原則、固定金利による資金調達を実施しており、為替変動リスクの一部については為替予約及び通貨スワップによるヘッジを実施しております。また、資金調達(借入)先および資金調達手段の多様化を進めつつ、有利子負債残高のコントロール等による信用格付の維持・向上に努め、必要な資金調達枠を確保するとともに、調達環境が急変した状況においても必要な運転資金を即時に調達できるようにコミットメントラインを設定しております。

<オペレーションリスク>

⑦自然災害・事故・テロの発生に関するリスク

リスク評価 H 対策必要性
リスクシナリオ

当社グループは、国内外で事業を展開していることから、出店する国・エリアにおいて、大規模地震、台風、集中豪雨等の自然災害や、火災・停電等の人為的な事故、あるいは人命を危機にさらす暴動・テロ等の発生により、当社グループが管理・運営するモールに毀損、焼失、劣化等の甚大な被害が生じ、休業を余儀なくされた場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

対策

当社グループでは、自然災害や疫病・事故等に対応する経営危機管理規則および経営危機関連諸規定の整備・周知徹底、大規模地震やテロ活動を想定した防災訓練の実施、有事の際に損害を最小限に抑えるためのリスク対応体制の整備・強化を継続的に実施しております。
建物・設備面の対策としては、耐震補強の実施や防煙垂れ壁のシート化等による大規模地震発生時の被害軽減対策、水害による浸水可能性があるモールには止水板の設置等の対策を講じております。
また、当社グループは、運営する全モールを対象とする火災保険及び火災水害等大規模災害罹災時の喪失賃料等を補償する利益保険に加入しております。地震保険については、イオングループ合同の保険に加入しており、地震に対するリスクの適正管理に努めております。

⑧戦争・内乱・クーデターの発生に関するリスク

リスク評価 対策必要性
リスクシナリオ

当社グループは、国内外で事業を展開していることから、出店する国・エリアにおける戦争・内乱・クーデター等が発生すると、当社グループが管理・運営するモールに毀損、焼失、劣化等の甚大な被害が生じる可能性があります。その場合、長期間にわたるモールの休業、国内外におけるテナント撤退に伴う空床拡大、被害を受けたモール再建にかかるコスト等が発生することにより、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

対策

当社グループでは、特に海外での事業展開にあたっては、出店国・エリアの政府や現地企業等との提携により事業を推進することが多く、相手先との緊密なコミュニケーションを通じた情報収集に努めております。
また、経営危機管理規則、緊急事態対応マニュアル等の各種規定やマニュアルの整備を完了し、インシデントを基にした改訂を実施しています。また、各国におけるBCP(事業継続計画)に基づく訓練の実施、危機管理に関する従業員への教育等の対策を講じることで、有事においても適切な対応を実現する体制の維持・向上に努めております。

⑨感染症拡大に関するリスク

リスク評価 対策必要性
リスクシナリオ

当社グループは、国内外でモール事業を展開しており、出店国・エリアにおいて大規模かつ深刻な感染症が流行した場合、各国政府や自治体によるロックダウン(都市封鎖)や活動自粛要請等により外出機会が減少し、お客さまの価値観や消費行動が変容する可能性があります。また、当社グループが管理・運営するモールにおいて、臨時休業や営業時間の短縮、出店計画の変更を余儀なくされる等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大は、世界経済の減速およびお客さまの生活様式に変化をもたらしており、また、ウイルスの変異に伴う再拡大など収束時期を見通すことは困難な状況にあることから、今後も先行き不透明な事業環境が続くことが予想されます。

対策

当社グループでは、感染防止対策として、お客さま、テナントおよび当社従業員の健康と生活を守り、お客さまとともに地域社会の安全・安心な生活を守ることを目的とし制定したイオンの防疫対策等の基準「イオン新型コロナウイルス防疫プロトコル」に基づき、徹底した感染防止対策のもと、モール館内の環境改善やモールオペレーション体制による管理・運営を行っています。さらに、科学的なアプローチによる分析を踏まえ、継続的に防疫対策の改善を進めています。
お客さまの価値観や消費行動の変容に対しては、新常態(ニューノーマル)における新たなモールコンセプトやサービス機能の提供等、従来のビジネスモデルからの変革を進めていく好機ととらえ、国内外において社会変化に対応したモールづくりに取り組んでいます。
また、従業員が健康かつ安全に働くことができるように、検温等による体調管理の徹底や在宅勤務の推進により感染拡大防止に努めております。さらに、TV会議システムの活用やリモートワークの環境整備等により業務効率化を推進し、働き方改革の実現に向けた取り組みを進めています。

⑩情報セキュリティに関するリスク

リスク評価 H 対策必要性
リスクシナリオ

当社グループでは、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進等、事業活動における情報システムの重要性は非常に高まっており、大規模な自然災害等によりデータセンターが被災し情報システムに障害が生じた場合、事業活動の継続に支障をきたす可能性があります。
また、サイバー攻撃による被害や不測の事態の発生可能性は高まっており、お客さまや従業員などの個人情報や業務上の機密情報等の外部流出や改ざん等が発生した場合、当社グループの社会的信用の低下および損害賠償による多額の費用負担が生じる等、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

対策

情報システムの停止リスクに対しては、主に稼働しているデータセンターに加え、遠隔地にバックアップのデータセンターを待機稼働しています。メインのデータセンターに障害が発生した場合も復旧可能な体制を整備しており、当社グループで運用中のBCPを更に強化し、大規模な自然災害等による当社グループの事業への影響の極小化を図っております。
情報の外部流出・改ざん等のリスクに対しては、サイバー攻撃対策として、業務用端末へのウイルス対策ソフトの導入、ネットワーク通信ログの収集ツールの導入、業務用端末における外部記憶媒体の利用制御等を実施しております。また、運用面では、外部システムを導入する際の担当部門によるセキュリティチェックの定期的な実施や、利用アプリケーション等への最新セキュリティパッチの適用、従業員への情報セキュリティ教育の実施、定期的な情報システムのセキュリティチェック等の対策を講じております。