社長メッセージ

「共感」をキーワードに、未来に向けて新たな価値を提供するLife Design Developerをめざす 「共感」をキーワードに、未来に向けて新たな価値を提供するLife Design Developerをめざす

イオンモールのめざすべき姿

2年続くコロナ下の中で、国内外ともに感染拡大が止まらず、私たちのモールでも、臨時休業や営業時間の短縮など、多くの制約を受けることになりました。お客さまが外出を控える中、ライフスタイルも変化し、リアル店舗でのショッピングを楽しむことからECへの置き換わりといった流れも進みました。
しかしながら、この流れはコロナによって新たに生み出されたものではありません。本来数年先に起きたであろうことが、コロナによって一気に加速したととらえるべきです。
コロナが長期化する中で多くの人は「なぜ」ここに行くのだろうか、という行動の意味を真剣に考えるようになりました。私たちにとってこの1年の成果は、その「なぜ」にこたえるため、プラットフォーマーとしてこれからのイオンモールの役割をしっかりと見つめ直せたことです。リアルとオンラインをシームレスにとらえて、どんな体験価値を提供できるのかを考えることこそがアフターコロナ時代を生き抜くうえでは重要です。社会が急速に変化する時代においても、効率のみを重視して生きている合理的経済人だけではなく、効率の追求だけでは得ることのできない時間消費型の体験価値を求めている人々も多く存在していると考えています。モールに足を運んでいただき、その時間でどのような喜びを感じていただくかを徹底的に追求する必要があります。とりわけ、環境への配慮、安全・安心への欲求はこれからの社会において、誰もが持ちうる最大の関心事であり、私たちは、それらの課題に対して当たり前に応えていくことで、お客さまが何も心配せずモールで過ごす時間を純粋に楽しく過ごしていただけることをめざします。

「なぜ」を突き詰めると次世代モールの形が見える

私たちがめざすべき姿は、イオンモールが地域コミュニティの中核として、日々の暮らしに欠かせないソリューションを提供することです。
私たちは、コロナ禍の制約の中でもお客さまがモールに来店する意味は何かを考え、新たな取り組みに挑戦し、形にすることができました。
その1つにモール環境の面での価値提供があり、五感に訴えかけるような空間づくりを大切にしています。緑の中でゆったりくつろげる空間を創出したイオンモール白山や、働き方の変化に対応したオフィス複合型のイオンモールNagoya Noritake Gardenは、当社が考える新しいモールの形を具現化したものといえるでしょう。

イオンモール白山(石川県)
イオンモールNagoya Noritake Garden(愛知県)

海外においても、地域にソリューションを提供する試みとして、2023年度中にカンボジアに多機能物流センターをオープンする予定です。これは外資系企業の進出が続く経済特区エリアでの物流拠点不足解消をめざしたもので、従来のモールビジネスの枠を越え、地域の社会課題を解決する取り組みです。試行錯誤しながらも1つずつ新しい挑戦を行うことで、変革に向けて歩みを進めることができていると感じております。モールビジネスを補完する機能のみに留まらず、新しい取り組みを事業の柱にするという強い想いをもって挑戦していく必要があると考えています。

イオンモールが考えるDXの具現化も重要なテーマです。テクノロジーありきではなく、実現したい想いが先にあって、それをテクノロジーで解決する。「ヒトの想いを中心としたDX」の実現に向けて、あるべき姿を思い描き、それを形にする取り組みです。そこに強い想いがあれば、DXの先進的な企業へと必ず成長していけると確信しています。

2030年を見据えて中期経営計画を組み立てる

2023年度からは2025年度を最終年度とする長期ビジョンに向けた最後の中期計画になります。2025年のあるべき姿に向かって着実に仕込みを行い、いい形で基盤を築いた状態で次の中期計画にバトンを渡していきます。目先の数字ありきでこれまでと同じやり方を続けても結果は付いてきません。お客さまから支持・評価していただけるだけの価値を提供することで、その対価として数字が付いてくると考えています。
単に郊外に大型モールを出店するだけでお客さまに大きな価値を提供できていた時代は終わりました。お客さまに安全・安心を担保しながら、リアルモールならではの新たな価値をどうやって提供していくか。お客さまのライフスタイルの変化を先取りし、購買行動だけではない新たな体験価値とは何かを徹底的に考えて、スピード感をもって対応しなければなりません。
これは、海外への出店でも同じことです。これまでと同じようにショッピングセンターを数多くつくることだけを目的とするのではなく、外資企業として当社が出店することでどんな価値が提供できるのか、その国・地域に必要なインフラとは何かを考え、地域に根ざし、受け入れてもらえる形にしなければなりません。それが結果的に海外の出店数を増やし、利益成長することにつながっていくのです。最重要エリアと位置づけているベトナムにおいても、私がベトナムの現地法人で代表を務めていた際には、地域ごとのニーズや文化、風土を学び、雇用促進やまちづくりへの貢献などのソリューションを提供してきました。その結果、既存のモールが地域に提供している価値を高く評価していただき、今では出店誘致のお誘いをいただくところまで来ています。

イオンモールの理念を体現するハートフル・サステナブル

持続的な成長と企業価値の向上を実現するうえで、私たちに求められるのは、イオンモールが企業として「実現したい未来」をどう描くかだと思います。私は、「ハートフル・サステナブル」というブランドステートメントに強いこだわりを持っています。ハートフル・サステナブルの概念は、「Life Design Developer」の経営理念のもと、持続可能な社会の実現に向けて、企業市民として地域・社会の発展と活性化に貢献するイオンモールの企業活動そのものだからです。ハートフル・サステナブルは、ESGやSDGsという言葉がこれだけ人々に知れ渡る以前から、イオンモールが力を入れてきた理念と行動を具現化した言葉です。SDGsにどう取り組むかというよりは、私たちが理念としてやってきたことが17項目のゴールとどう符合するかだと考えています。
直近では、サーキュラーエコノミーを実現するため、それぞれのモールの域内で、電力の地産地消や食物残渣削減への取り組み、そして「幸服リレー!」と名付けた衣料のリサイクルなどに取り組んできました。

Life Design Developerの経営理念のもと、企業市民として、持続的な社会の実現に向けて、地域・社会に貢献・活性化する取り組みを「ハートフル・サステナブル」としました。当社だけでなく、お客さま、地域社会、パートナー企業さま、株主・投資家さまとともに、より良い社会を目指します。

共感の連鎖で、ステークホルダーの皆さまとともに

私たちの事業は、共感の連鎖で成り立っていると考えています。社員同士が共感し合って、新たなアイデアをつくる、それをパートナーである専門店企業の皆さまが共感してくれてモールとして形づくられる。それにお客さまが共感し、お客さま同士でシェアしてくださる。さらに、それが地域の共感を呼び、パートナーや社員に返ってくる。こうした連鎖の輪が広がって、私たちは地域に根ざした存在となるのです。
私たちは、パートナーに支えていただいてともに舞台をつくるプラットフォーマーです。地域の方々との共感があって初めて、共創価値を生み出すことができます。これが、私たちが掲げる『地域とともに「暮らしの未来」をつくるLife Design Developer』ということにつながると確信しています。
すべてのステークホルダーの皆さまとの共感の連鎖の輪を広げ、さらなる発展につなげたいと思います。これからも一層のご支援のほど、お願い申し上げます。