消費者のライフスタイル変化に対応し集客力を強化
国内の消費市場において、Eコマースの利用が拡大するなど、お客さまのライフスタイルは大きく変化しています。かつその変化は一過性でなく、すでに定着したものと捉えて対応していく必要があります。我々がモール運営において最重要視するKPIは来館客数ですが、新型コロナ以降、着実に回復してはいるものの、当社の求める水準にはまだ戻っていません。回復に向けては、新たな来店動機を創出し、新たな顧客を創造していくことが不可欠です。イベントの在り方や日常のモール運営など、これまで当たり前に行ってきたやり方、考え方を根底から変えていかなければなりません。
地域にとって最適な形へモールを再定義
消費動向の変化に対応し集客力を強化していくためには、地域における我々のモールの価値を見つめ直し、再定義することが必要になっていると考えます。例えば、既存店の活性化においては、ゼロベースの視点から、その地域に最も適した専門店構成や機能に組み立て直します。状況によっては、現在提供しているサービスや機能に固執し過ぎずに、モールの在り方を含めて考え直していくという勇気を持った決断も必要かもしれません。
その上では、さまざまな事業会社や機能会社を持つイオングループの規模のメリットは、当社にとって大きな強みとなります。当社単独ではなく、グループ企業との連携によりシナジーを最大限活用すれば活性化の選択肢は大きく広がり、地域に必要なインフラとして存続していくことが可能です。
お客さまと「深いつながり」を創るためのデータ活用
従来の発想にとらわれず新しい体験を提供する、そのためにはお客さまのニーズを的確に捉える必要があります。その点では、お客さまデータの収集や活用の仕方を変えています。現在はイオンモールアプリも活用しながら情報を集約し、非来店客も含めたお客さまの困りごとやご要望をリアルタイムで把握することで、次の打ち手に素早く活かしています。
そうして集めたお客さまの声も踏まえて、当社ではモール共用部における環境を整備し、快適な空間を提供することでお客さまの満足度を高めています。例えば、小さなお子さま連れのお客さま向けに、地域の天然木材を使用して安全・安心な環境でお子さまを遊ばせられる無料の遊び場「モクイクひろば」の導入を各モールで進めています。こうした取り組みは、イオンモールに来ると「心地いい」「ストレスがない」といったお客さまの心理面や感情面への働きかけとなり、定期的な来店を習慣化していただくことにより、集客アップにつながっていきます。
既存資産を最大限活用し収益性を改善
訪日外国人の増加が進む中、インバウンド需要への対応は収益力強化に向けたビジネスチャンスと捉えています。これまで空港や観光地に近い一部のモールを対象に対策を進めてきましたが、今後の地方へのインバウンド需要の拡大に向け、地方郊外に拠点をもつ当社の強みを活かせば、インバウンド需要をさらに取り込んでいくことは十分可能です。
全国にモールを出店していることで得られるネットワークや情報は、当社が持つ大きな資産であり、かつ強みであります。この既存資産が持つ価値を最大限活かし、地域に根ざした事業展開を行うことで、国内事業の収益性改善を果たし、当社がめざす『地域共創業』の実現につなげていきます。
取締役 CX創造担当
坪谷 雅之