イオンモール CSRレポート2017
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第三者意見立教大学経営学部教授高岡 美佳 氏【プロフィール】青山学院大学経営学部卒。東京大学大学院経済学研究科で博士号取得。大阪市立大学助教授、立教大学経営学部助教授などを経て2009年4月より現職。主な研究テーマは、流通論、CSRとブランド価値、小売経営と消費者行動。著書に『サステナブル・ライフスタイルナビゲーション』(日科技連出版社、2007年)など。 ■イオンモールのCSRレポートに第三者意見を寄せるのは今回で3回目となります。本レポートは「地域とともに『暮らしの未来』をつくるLife Design Developer」を経営理念とするイオンモールの多角的な活動を、CSRトピックス、特集および同社が掲げるCSRの5つの柱に沿って報告しています。今年度は、特集記事がすべて見開き1ページで完結していて読みやすく、内容についても一層充実した印象を受けます。また、昨年度に引き続き、ステークホルダーの生の声や現場の写真も多く掲載されており、CSRコミュニケーションの点から見ても優れたレポートと言えるでしょう。■最も高く評価したいのは、イオンモールが実に多様な側面から地域に貢献している点です。このことは、特集1(p.12-p.17)や「継続的な地域社会への貢献」に関する記述(p.28-p.31)から読み取れます。健康を増進するモールウォーキング活動の本格化、文化振興の象徴である市立図書館の開館、落語や伝統的工芸展の開催、期日前投票所の設置、成人式の実施など、地域の人々に対する貢献の方法が多様であることは、同社が実直に地域に目を向けていることの表れだと実感します。また、トップメッセージにあるように、自宅でのEコマースが今後ますます台頭していくことを考えれば、多くのお客様にモールに足を運んでいただくことで楽しんでいただく地域貢献活動が同社の本来の事業活動にも良い影響を及ぼす可能性は高いでしょう。地域と共同で価値を創出し、持続的な成長を目指すCSV(Creating Shared Value)の観点から活動を推進していることを評価したいと思います。■熊本地震の発生から約1年が経過しました。特集2(p.18-p.23)では、イオンモールの災害と向き合う姿勢が現場の声を交えつつ紹介されています。当時、多数報道されましたが、熊本地震発生後、イオングループは日本航空やその他パートナー企業・政府・自治体等と協力しながら被災地にいち早く物資を届けました。また、熊本県内のモールでは、地域の人々のために素早く施設を開放しました。このような活動は、災害に対する日頃の準備なくしては成し遂げられません。東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県東松島市に対しても、復興支援を継続しています。人々の生活に密着したモールという事業を営む同社ならではのCSR活動を高く評価したいと考えます。■今年度のイオンモールのCSR活動においては、ダイバーシティの推進について着実な進展が見られます(p.34)。女性管理職者数・割合ともに増加して「多様な人材が活躍する企業」へと進んでおり、海外の現地法人ローカルスタッフ人数も増加して「組織・人材のグローバル化」が見て取れます。2016年3月、同社は、継続して活躍・成長が望める制度や取り組みを見える化し、企業の強みにできる環境づくりを推進することを目的として、人事総括部の組織下にダイバーシティ推進グループを新設しました。また、同年6月にはモール内に出店している専門店を会員とする「イオン同友店会」が同じくダイバーシティ推進部会を新設し、同友店従業員の職場環境向上のために保育園やリラックスルームの設置を実現しています。企業が持続的に成長するためには、組織を活性化させる多様な人材の活用が不可欠です。人材のダイバーシティやワークライフバランスに関する制度的枠組みが新たに構築されたことを評価したいと思います。■イオンモールは、環境に配慮したモールづくりでは国内外でトップレベルに位置していますし、地域貢献や働く人々への配慮に関しても高いレベルに到達していると思います。次年度はぜひ、レポートにアクションプランを掲載してはいかがでしょうか。「5つの柱」でまとめているCSR項目のうち、何をどこまで実施するのか。それぞれについて目標を設定し、実際に行った活動の概要を示すとともに目標達成の度合いを確認するというPDCAサイクルを回すことは、イオンモールのCSR活動のさらなる推進に役立つはずです。評価できること要望したいこと2017 AEON MALL CSR 50

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