特別企画:社外役員座談会

多様な価値観を経営に反映させて
持続的成長と企業価値向上の実現を

海外事業展開に対する意見・提言

現地と日本との価値観共有化などによる
海外事業のリスクマネジメント強化が課題

――当社が積極的に展開している海外事業に関して、ご意見やご指摘、アドバイスなどをお聞かせください。

鈴木国内マーケットの規模的な拡大が望めない状況にあって、企業が持続的な成長を果たすために、中国やアジアといった成長市場に進出していくのは必然ともいえます。しかしながら、海外事業には国内事業にはないリスクがともなうのが常ですから、それをいかに見落とさずに対策を講じるかが重要です。

市毛由美子氏の写真

市毛自分が社外監査役になって間もない頃、リスク認識共有のため海外投資リスクに関する専用のチェックリストを作成・運用するよう提案しました。提案後、早々にチェックリストが作成され、リスク判断ツールの1つとして活用されるようになりました。ただし、事業環境は絶えず変化しているため、投資実行後に当初の事実認識と実際の状況にギャップが生じることも少なくありません。そうした場合にも迅速に意思決定して適切な対策を打てるように、海外事業の状況や環境変化を継続的にモニタリングしてPDCAを回していくことが必要だと思います。

河端そんな海外事業のリスク管理を強化していくために不可欠なのが、現地と本社の価値観の共有化です。現地では黄色信号が灯っていたのに、本社側が気づいていなかったり、逆に本社が赤信号と言っているのに、現地はまだ青だと信じて突き進んだりといった事態が起こりやすいのです。このリスク感度のレベルを合わせるためにも、現地での人材育成が重要になります。

鈴木おっしゃるように、人材育成や人事制度を整備して、現地の人材がより主体的に事業運営に参加できるようにしていくことが大切だと思います。日本人社員の場合、現地に勤務して数年の経験しかないわけですが、彼らは現地の商習慣や職業意識なども知り尽くしているわけですから、彼らの力なくして現地での事業リスクを正しく把握するのは困難です。このようなことを踏まえて彼らの知識や経験、情報と日本で創り上たイオンモールの企業理念やノウハウを融合、浸透させることが日本人社員のミッションになります。

村松高男氏の写真

村松同感です。私は15年ほど前に税制のセミナーで訪中して以来、現地に人脈が広がり、その後も日本に留学する若者のお世話をしたことがあります。彼らは非常に勉強熱心で語学も堪能だし、論理性も高い。そんな優秀な人材を多く獲得して、人事交流などを通じてイオンモールの企業理念を共有化していくことが重要だと思います。

また、海外においては、税制や商法などの法規の違いもあって会計上の問題が発生するリスクも高いとされています。こうした会計上のリスクについては、現地任せにするのではなく、可視化して日本からしっかりとコントロールできる体制を整備する必要があると思います。

鈴木現地のトップは、アクセルを踏んで業績を伸ばさなければならない立場でもありますから、万が一の場合に備えて日本側からブレーキを効かせてあげる仕組みが必要かもしれません。

村松中国の税制について言えば、15年前に比べて格段に改善されており、税務リスクは低くなったと思います。それでもビジネスに対する考え方など日本とはまだギャップがあるのも事実ですから、ガバナンスの強化は欠かせません。